家の購入は、人生で最も高額な買い物などと言われていますし、誰もが相当なお金が必要なのだろうな…ということは理解していると思います。実際に、家の購入を検討して、さまざまな資料を取り寄せてみると、その資料には物件価格として数千万円単位の金額が記載されていますので、「やっぱりこれぐらいはかかるよね…」と少し不安な気持ちになってしまうこともあることでしょう。
しかし注意しておいてほしいのは、家の購入時にかかる費用について、チラシなどに記載されている物件価格のみかというとそうではないということです。実は、家の購入時には、家本体以外にも、さまざまな諸費用がかかってしまうことになるため、予想以上に高額となってしまうものなのです。
そこでこの記事では、家の購入をご検討中の方のため、直前に「お金が足らない…」なんてことにならないよう、全体でどういった費用がかかってくるのかをご紹介します。
家の購入にかかる費用の全体像について
家を購入する時には、「どんな間取りが良いか」「生活利便性が良い立地は」「いくらぐらいの家か」などと言った事を考える方が多いです。しかし、家の価格については、物件の本体価格に注目するばかりで、家を購入することで発生する諸費用を見落としてしまう方が多いです。
家の購入にかかる全体の費用をきちんと想定しておかなければ、家購入後の生活にしわ寄せがきてしまいますので、購入計画を立てる時に「本体価格と購入のための諸費用でいくらかかるのか?」という全体像を押さえておくようにしましょう。ここではまず、家の購入にかかる費用を大きく3つに分けてご紹介しておきます。
- 物件の本体価格
購入する家本体の価格です。物件価格は、戸建てか、マンションかなど、建物の種類や立地、広さなどにより価格が変わります。多くの方は、これが家の購入にかかる費用と考えてしまうのですが、これ以外にも後述する費用がかかると考えてください。 - 購入時の諸費用
いわゆる初期費用などと呼ばれるもので、家を購入する際に、必然的にかかってくる費用です。分かりやすい例を挙げると、契約や登記にかかる税金や手数料などです。他にも、住宅ローンを組むのであれば、金融機関に対する手数料や保証会社への保証料、火災保険料なども考えておかなければいけません。 - 家購入後の諸費用
家の購入ができたとしても、実際にそこで生活するまでにはさまざまな費用がかかります。例えば、新居への引っ越し費用や家具を購入する費用が分かりやすいですね。他にも、家を購入すれば、毎年固定資産税を支払わなければいけませんし、中長期的な視点で考えると、家のメンテナンスコストはかなりの費用がかかります。
以下で、物件の本体価格以外の費用についてもう少し詳しくご紹介していきましょう。
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購入時の諸費用について
それでは、家の購入時に必要になってくる費用についてご紹介していきましょう。ここで必要になる費用は「不動産の取得にかかる費用」「ローン契約に関わる費用」「その他費用」に分けることができます。以下でそれぞれについて簡単にご紹介しておきます。
不動産の取得にかかる費用
まずは不動産の取得時に関わってくる費用からです。
- 頭金
頭金は、物件購入のために、最初に支払うまとまったお金のことです。一般的には、物件価格の2割程度が目安とされています。なお、最近では、「頭金ゼロ」で住宅ローンを組むこともできるようになっており、その場合は必要のないお金になります。ただし、全額ローンにしてしまうと、金利負担が大きくなってしまうなど、いくつかのデメリットが存在しますので、可能であれば頭金を用意しておくのがおすすめです。 - 印紙税
家の購入時には、不動産売買契約書を始めとして、いくつかの契約書を交わします。そして、契約書を交わす場合には、契約金額に応じた印紙税がかかります。 - 仲介手数料
不動産仲介会社を通して家の購入をする場合、仲介手数料がかかります。不動産の取り引きでは、この仲介手数料は大きな負担になります。物件の売主から直接購入すればかならない費用です。ただし、不動産仲介会社は、物件探しや物件比較など、さまざまなアドバイスや手続きをしてくれますので、一概に仲介手数料が無い方が良いとも言い切れません。 - 登記費用
不動産を購入した場合、自分がその不動産の権利者だということを示すために、管轄の法務局で登記を行います。この際には、登録免許税という税金がかかります。また、司法書士などに登記を依頼すると、報酬が発生します。 - 不動産取得税
土地や建物を購入したときには、不動産取得税という税金がかかります。原則として宅地・住宅での税率は4%なのですが、2024年[令和6年]3月31日まで軽減措置が取られており、宅地で「課税標準額×2分の1×3%」、住宅で「課税標準額×3%」となっています。 - 固定資産税精算金
固定資産税は、毎年1月1日時点で、土地の所有者に課せられる税金です。家の購入は、年の途中で行われるものですので、不動産の売買をするときに、日割り計算で売主に支払うのが慣例となっています。
ローン契約に関わる費用
次は、住宅ローンに関わる費用です。
- 印紙税
住宅ローンを利用して家の購入を進める場合、住宅ローン契約書を交わすのに、印紙税が必要です。不動産売買契約書の印紙税には軽減措置があるのですが、住宅ローン契約書には軽減措置がありません。 - 融資手数料
住宅ローンの契約時には、金融機関によって融資手数料がかかる場合があります。この部分を見落としてしまう方は非常に多いので注意しましょう。 - 団体信用生命保険料
住宅ローンの契約は、団体信用生命保険への加入を条件としている金融機関が多いです。この保険は、ローン契約者が死亡したり高度障害になった場合、残債を保険金で相殺してくれるものです。 - 物件調査手数料
住宅ローンの借り入れは、担保とする物件が、融資の基準に満たしていなければいけません。そのため、ローン契約前に物件調査が必要で、金融機関によっては手数料がかかってしまいます。 - 火災保険料
住宅ローンの契約は、多くの場合、火災保険への加入が必要となります。火災保険は、自分で好きな保険を選ぶことができますが、ローンを組む金融機関が提携している保険会社のものにすると、優遇が受けられる場合もあります。
その他の費用
家の購入時にかかる主な費用は上記のようなものです。それ以外にも、以下のような費用がかかる場合もあります。
- 修繕積立基金(修繕積立一時金)
新築マンションを購入した時にかかる費用です。戸建てや中古マンションの場合はかかりません。 - 水道負担金
上下水道を自分の土地まで引き込むための費用となります。戸建て住宅の購入時にかかる費用で、中古の戸建て住宅の場合は既に引き込まれているので不要です。 - 引っ越し費用
新居に引っ越すためにかかる費用です。 - 家具購入費用
新居に適した家具を購入するための費用です。家の購入時には、ほとんどの大型家具を買い換えるという方も多く、意外に大金になってしまいます。
ここまでの説明で分かるように、家の購入時には、物件本体にかかる費用以外にもさまざまなお金がかかってきてしまうのです。実際に、こういった諸費用を見落としていた…、想定以上の費用がかかったなどと言った理由で、お金が足りなくなってしまう…なんて方も少なくありません。
なお、こういった諸費用に関しては、住宅ローンの対象になる費用ではないのですが、新居の購入に伴って一般的にかかる費用であれば、その支払いをサポートするための『諸費用ローン』なる物を用意している金融機関が増えています。諸費用ローンでは、仲介手数料や保証料、火災保険や引っ越し費用なども対象になり、一般的なローンよりは金利が低いので非常に便利です。なお、フラット35であれば、さまざまな諸費用を住宅ローンにまとめることができます。
購入後の費用も考えておこう
家の購入は、上記のように、物件本体の価格以外にも、さまざまなお金がかかってきます。さらに覚えておきたいのは、家の購入ができたとしても、その後もそれなりのコストがかかってきてしまうということです。ここでは、家の購入を検討している方がおさえておきたい、購入後も想定しておきたい費用についてご紹介しておきます。
- 固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点で不動産を所有している方にかかる税金です。戸建住宅でもマンションでもかかるものですので、頭に入れておきましょう。 - 家のメンテナンスコスト
戸建て住宅の場合、塗装や屋根のメンテナンスなど、すべてを所有者が計画的に行っていかなければいけません。メンテナンスタイミングを遅らせてしまうと、余計に劣化を進めてしまい、家が早くダメになってしまう恐れがあります。定期的に専門業者に点検してもらい、必要なメンテナンスを行っていきましょう。 - 管理費・修繕積立費
分譲マンションの場合は、共用部分の管理のための管理費や大規模修繕に備えるための修繕積立費がかかります。なお、自室のリフォームなどは別途実費で支払わなければいけませんよ。 - 駐車場代
マンションの場合、駐車場代は別途かかります。戸建ての場合でも、自宅に駐車スペースを設けていないのであれば、別に借りなければいけません。
このようには、家の購入後にもさまざまな費用がかかってしまうということは覚えておきましょう。
まとめ
今回は、家の購入にかかる費用の全体像についてご紹介してきました。家の購入にかかる費用と言われると、多くの方がチラシなどに記載されている物件本体の価格と考えてしまうものですよね。しかし、実際に家の購入を進めてみると、本体価格以外にもさまざまな諸費用がかかってしまうことがわかり、当初想定していた予算を大幅にオーバーしてしまう…なんてことが考えられるのです。
家の購入が、自分たちの生活を苦しくさせるのでは全く意味がないと思いますし、きちんと資金計画も立てて家の購入を進めるようにしてください。