今回は、戸建て住宅の暑さ対策第二弾として、戸建ての二階部分がサウナのように暑くなってしまう理由と快適にすごせるようにするための対策についてご紹介します。以前、戸建ての暑さ対策第一弾として、新築時に注意しておきたい暑さ対策をご紹介していますので、まだそちらを見ていない方は、ぜひ以下の記事もご参照ください。
関連記事:新築住宅でおさえておきたい暑さ対策について!戸建て住宅における暑さ対策の基礎知識
現在、二階建ての家に住んでいる方の中には、夏場になると、二階部分の室温があがってしまい、その暑さに悩んでいる…という方が多いのではないでしょうか?年々猛暑化していると言われる日本の夏ですが、二階建ての家では、昼間に二階に上がると、ムワッとした空気が押し寄せてきて、まるでサウナに入ってしまったように感じてしまうことも珍しくありません。一般的な住宅であれば、二階部分に寝室があるという場合が多いため、夏になると暑さで寝苦しくなってしまう…なんて感じることも多くなるでしょう。
それでは、住宅の二階部分がサウナのように暑くなってしまう理由は何なのでしょうか?この記事では、夏場に二階部分が熱くなってしまう理由や、快適にすごせるようにするための対策についてご紹介していきます。
二階部分が暑くなる理由とは?
それではまず、夏場に二階部分の室温が暑くなってしまう原因について考えてみましょう。この部分に関しては、さまざまな理由が考えられるのですが、主に以下の3つの原因に集約されます。
- 暖かい空気の方が軽く、上に行く性質があるため、二階に溜まる
- ベランダ部分の照り返しで、室内の空気が温められる
- 強い日差しで屋根が温められ、その熱が室内に伝わる
それでは以下で、それぞれの原因をもう少し詳しく見ていきましょう。
「暖かい空気が上に行く」について
皆さんも、子供のころに理科の授業で習ったと思いますし、「暖かい空気の方が冷たい空気より軽く上に行く性質がある」ということはご存知でしょう。この性質により、一階部分よりも高い位置にある二階部分は、構造上、熱が溜まりやすくなってしまう訳です。特に、リビングなどが吹き抜けになっている住宅の場合、空気の流れをきちんと考えなければ、夏は涼しくなりにくく、冬は底冷えするリビングなどができあがってしまう恐れがあります。
ちなみに、この問題に関しては、何も戸建て住宅だけの問題ではなく、アパートやマンションでも同じです。一般的に、集合住宅も上の階ほど、夏は暑くなりやすいのです。この対策としては、次項で詳しくご紹介しますが、空気の流れを作るため換気を適切に行うことが重要です。
「ベランダからの照り返し」について
次は「ベランダからの照り返し」についてです。洗濯物を干すスペースなどとして、多くの住宅にはベランダがあると思いますが、ベランダの床部分で照り返しがおこり、日差しが室内に入ってしまうことで室温があがってしまうのです。
したがって、ベランダがある部屋は、昼間でもカーテンを閉めておいたり、窓の外側にすだれなどを設置するのがオススメですね。他にも、日光を反射しないよう、ベランダに人工芝を敷いてみたり、打ち水をするなんてことも有効です。
「屋根の熱が室内に伝わる」について
最後は、屋根の熱が室内に伝わり、室温を上げてしまう…というものです。もともと日本国内では、土を焼き固めた『瓦』が屋根材として使用されてきましたが、近年では、スレートや金属屋根素材が採用される事が増えています。どの屋根材を採用するのかによって、室温の上昇度は変わってしまうのですが、近年人気のスレートや金属屋根を採用している住宅で、暑さ対策をしていなければ、夏場は不快になるほど部屋が暑くなる…なんて危険があります。
例えば、金属屋根であれば、夏場の強い日差して、表面温度が80℃前後まで暑くなってしまうと言われており、その熱が室内に伝わって室温を上げてしまう訳です。これからも分かるように、夏場の室温上昇を防ぐためには、屋根が暑くなるのを防ぐことや、屋根の熱が室内に伝わらないようにするということが重要になります。
夏場の戸建住宅で、二階部分が暑くなってしまう…という現象は、主に上記のような事が理由です。最近では、高気密高断熱の家が人気になっており、外壁の断熱性能を上げていけば室内の快適性があがると言われています。しかし、換気が悪く窓からの日射で空気が温められる状態であれば、室内の暖かい空気も壁の断熱で外に逃げにくくなるため、室温が下がりにくくなると言う点は頭に入れておきましょう。
それでは次項で、こういった二階部分の暑さ対策について、有効な対策をご紹介していきましょう!
二階部分の暑さ対策とは?
それでは、戸建て住宅の暑さ対策として、夏場に二階部分の快適性を高めるために有効な対策をいくつかご紹介していきましょう。戸建て住宅の二階部分は、お子様の部屋や寝室になっていることが多いため、誰もが快適にすごせるようにしたいと考えるものだと思います。
ここでは、上で紹介した暑くなる原因を解消するという方法での暑さ対策をご紹介しておきます。
空気の抜け道を作ってあげる
夏場に二階部分が暑くなってしまう…というのは、暖かい空気が上に溜まるという性質があるからです。したがって、快適な空間を作るために大切なのは、部屋にこもった熱を外に逃がしてあげるということなのです。最も簡単な対策としては、窓を開けて換気を行うという行為です。きちんと空気が流れるように、入口と出口となる2か所の窓を開けてあげることで、二階部分に風が通り、サウナのように暑い…なんてことはなくなるでしょう。
窓を開けて換気する場合の効率的な方法としては、空気の入口と出口ができるだけ対角線上になるようにするということです。また、空気の入口は、なるべく冷たい風が入るよう日陰になっている部分を選び、そこは小さく開けておくのが良いです。そして、出口側の窓を全開にしておけば、部屋の中に涼しい空気が入りやすくなります(風向きにもよりますが…)。なお、窓が一つしかない場合、扇風機やサーキュレーターを使って、外に空気が出ていくようにしましょう。
新築時であれば、「住んでみると、夏は二階が暑い…」なんてことにならないよう、屋根裏に溜まった熱い空気を排出するための換気排熱ファンなどを設置しておくことがオススメです。リフォームで後付けもできますが、新築時から取り付けておいた方が余計なコストがかかりません。
日光を遮る
夏場に二階部分が暑くなってしまうのは、窓から入る強い日差しやベランダなどの照り返しにより、室内の空気が温められるからです。したがって、日中は二階部分のカーテンを閉めておくというのが非常に有効です。普通のカーテンでも効果はありますが、厚手の遮光カーテンなどであれば、さらに暑さ対策として有効です。
なお、カーテンでの対策の場合、窓とカーテンの間に熱が溜まってしまうことになります。要は、室内の空気はある程度暖められてしまうということです。こういった事を防ぐためには、室内側のカーテンで日射を防ぐのではなく、窓の外側にすだれやグリーンカーテンを設置するだとか、窓に断熱・遮熱フィルムを貼るなどと言った対策が有効です。
特にグリーンカーテンに関しては、植物が水蒸気を発生させるため、気化熱の原理で温度が下がりやすくなると言われていますので、非常にオススメです。ただし、植物を育てるのは、それなりに手間がかかりますし、枯葉の処理なども必要になりますので、良い部分ばかりではないと考えておきましょう。
他にも、ベランダ部分の照り返し対策としては、小まめに打ち水をしてあげるだとか、人工芝を設置して照り返しを無くすなどの対策が有効です。
屋根からの熱を防ぐ
最後は、屋根から室内に伝わる熱を防ぐという対策です。日本国内では、長らく粘土瓦の人気が高かったのですが、ここ20年間で一気に屋根材のシェア率が変わってきています。現在では、スレートと金属屋根を合わせたシェア率が約75%程度あると言われており、特にここ数年、金属屋根のシェアがドンドン高くなっているのです。これは、より軽量な屋根の方が建物の耐震性が高くなると言われているのが主な要因でしょう。
しかし、金属屋根やスレート屋根は、瓦屋根よりも断熱性が低く、夏場の強い日差しを受けて温められ、その熱が室内に伝わりやすいというデメリットが存在するのです。したがって、夏場の二階部分の快適性を高めるためには、屋根から伝わる熱をいかにして防ぐのかが重要になります。
例えば、屋根塗装として遮熱塗料や断熱塗料を採用するという方法や、屋根断熱や屋根裏断熱で対策を施すという方法が有効です。なお、遮熱塗料に関しては、別記事でもご紹介していますが、夏場の暑さ対策には非常に有効ですが、冬場の寒さ対策には役に立ちません。夏の暑さも、冬の寒さも考えた対策となると、屋根部分の断熱性を向上させ、上述した換気性能を高めるなどの対策が最も良いのではないでしょうか。
参考データ:屋根材のシェア率の変動について
関連記事:夏の暑さ対策には『遮熱塗料』がオススメ?採用する前におさえておきたいポイントについて!
まとめ
今回は、夏場になると「二階部分が暑すぎて困る…」とお悩みの方のため、夏場に二階部分が暑くなってしまう理由や、少しでも快適にすごせるようにするための対策についてご紹介してきました。
日本の夏は、どんどん猛暑化が進んでいると言われており、何の暑さ対策もない状態であれば、昼間に室内が温められすぎて、夜になってもなかなか涼しくならない…なんてお悩みをかかえる方が増えています。もちろん、電化製品が進化していますし、エアコンをつければ夏場でも快適な室温にすることはできるのですが、そうなると電気代が気になってしまいますよね。
この記事では、どの住宅でも簡単にできる対策を重視してご紹介しましたので、毎年夏になると暑さに悩んでしまう…という方は、ぜひこれから来る夏に向けて準備しておきましょう。