これから憧れのマイホーム購入を検討している方の中には、「新築時に太陽光発電を一緒に設置したほうが良いのか？」ということに迷っている方も多いのではないでしょうか？太陽光発電設備は、後付けでも設置可能なものですが、新築時であれば、太陽光発電の設置に最も適した屋根形状などを検討することができますし、建物の外観デザインなども壊さないように設置が可能だと言う点をメリットと感じる方が多いようですね。
ただし近年では、「そもそも今でも太陽光発電はお得な設備なの？」ということに疑問を持っている方が非常に多いと言われています。これは、太陽光発電の普及推進のために作られた制度である『固定価格買取制度（FIT）』について、年々電力会社への売電価格が下落しており、現在では「今さら太陽光発電を取り付けても、元をとれないのでは…」と考えてしまう方が多いからです。
そこでこの記事では、太陽光発電を設置するメリットが何なのかや、どのタイミングで設置するのが適しているのかを簡単にご紹介していきたいと思います。
そもそも太陽光発電って必要なの？
それではまず、「そもそも太陽光発電を設置する必要があるのか？」と言う点からご紹介していきましょう。太陽光発電システムが注目され始めたころは、政府が普及推進にかなり力を入れていたこともあり、各種助成金やFIT制度など、投資効果の非常に高い設備として一気に普及が進んでいったように思えます。実際に、FIT制度がスタートしたばかりのころは、売電価格が非常に高く、電力会社が発電した電気を買い取ってくれる10年間の期間があれば、余裕で設置にかけたコストを取り戻すことができたと言われています。
しかし現在では、売電価格が当初の半値程度まで下落しており、「今さら太陽光発電を導入しても元が取れない…」と考えてしまう方が多くなっているのです。はっきり言っておきますが、太陽光発電に関するこういった考えは間違いだと言えるでしょう。というのも、FIT制度というものは、太陽光発電の設置費用を10年間で取り戻すことができるようにという考えのもと、売電価格が決められています。近年、売電価格が下落しているのは、太陽光発電システムの発電効率の向上や、設置コストの下落があり、現在の売電価格程度でも余裕で元が取れるという計算になっているのです。ちなみに、太陽光発電の設置コストに関しては、当初の半値以下にまで下落しています。
もちろん、本来太陽光発電の設置に向いていない条件で、想定していた発電量が確保できない…なんて場合は、設置コストを取り戻せない可能性もあるのですが、基本的には設置して一方的に損をするような設備ではないと考えても良いです。
以下で、一般的な太陽光発電のメリット面をご紹介しておきます。
電気代を削減できる
太陽光発電は、日射を電力に変換するシステムです。したがって、太陽光発電を設置しているご家庭であれば、日常生活に必要になる電力を自家発電することができるようになり、日々の電気代を大幅に削減することが期待できます。ちなみに、太陽光発電は、日射のない夜間や悪天候時は発電することができないので、その分は電力会社から買電しなければいけません。つまり、太陽光発電を設置したからと言って、月々の電気代を全て自家発電で賄い、電気代を0円にするということは難しいです。
ただし、近年注目されている家庭用蓄電池も導入すれば、昼間に発電した電気を貯めておき、夜間は蓄電池から電力を供給するというサイクルが作れるため、電気代0円を目指すことも可能です。
売電収入が得られる
太陽光発電で作った電気のうち、自分たちで使い切れない余剰電力を電力会社が買い取ってくれます。設置から10年間はFIT制度によって高額な売電価格（2021年度：19円/kwh）が保証されています。
太陽光発電のメリットは、上述した電気代削減だけでなく、余剰電力を電力会社に売電することで得られる収入もあるのです。この相乗効果で、設置にかけるコスト以上の金銭的メリットが得られると言われています。
災害時の停電でも電気が使える
太陽光発電設備があれば、自然災害によって万一停電が発生したとしても、日射で自家発電することができるようになります。ガスや水道などのライフラインと比較すると、電気の復旧は早いと言われていますが、近年では台風の大型化や集中豪雨による水害など、長期間にわたる停電被害が生じてしまうことも珍しくありません。このような事態に陥っても、昼間は家族の生活を支える電気を確保できるのは非常に大きなメリットになります。
なお、家庭用蓄電池も併設しておけば、災害による停電時でも、普段と同じような生活を守ることも可能だと言われています。
太陽光発電の設置は新築時が良い？
ここまでの説明で分かるように、売電価格が下落して「設置のメリットがない…」と勘違いする方がいる太陽光発電ですが、現在でもその投資効果は高い設備だと言えます。特に、自然災害の多い日本に住むことを考えれば、万一の時も家族の安全を守れる設備としては非常に心強い存在になるでしょう。
それでは、実際に太陽光発電の設置を検討した場合、どのタイミングが良いのかも知っておきたいものですよね。一般的には、既存住宅に後付けで設置するものと考える方も多いのですが、新築時に取り付けられないものでもありません。ここでは、新築時に太陽光発電を設置する場合のメリットとデメリットをご紹介しておきます。
新築で太陽光発電を設置するメリット
それでは新築時に太陽光発電を設置するメリットからご紹介しておきましょう。一般的に、以下のようなメリットがあると言われています。
- 住宅ローンとひとまとめにできる
太陽光発電は、設置コストが下落してきたとはいえ、決して安いものではありません。そのため、後付けの場合には、高額な初期コストがネックとなってしまう場合が多いのです。住宅用太陽光発電の平均的なものでも、設置には100万円以上のコストがかかってしまいます。これが、新築時に太陽光発電を設置することになれば、太陽光発電の設置にかかる費用に関しても、金利が非常に安い住宅ローンにまとめることができるのです。したがって、後付けで太陽光発電を設置する場合よりも、金利的にかなりお得になります。 - 建物の外眼デザインを損なわない
後付けで太陽光発電の設置をする場合、無理やり設置場所を確保することもありますので、建物の外観デザインを損なってしまうことも考えられます。しかし、新築時に太陽光発電を導入すると決めていれば、それありきで家の設計を行いますので、デザインを損なう心配もありませんし、屋根の負担も少なくなります。さらに、屋根の上に設置する太陽光パネルの重量も加味して設計しますので、家の耐震性も安心できます。 - 屋根の保証も安心
新築時に太陽光発電を設置しておけば、屋根と太陽光発電をセットで保証してもらえるというメリットがあります。後付けで太陽光発電を導入する場合、住宅メーカーなどによっては、屋根の保証がなくなってしまうこともありますので、万一の事を考えると非常に安心です。
新築で太陽光発電を設置するデメリット
それでは次に、新築時に太陽光発電を設置する場合のデメリット面もご紹介しておきましょう。高額な設備ですので、デメリット面もきちんとおさえておかなければいけません。
- 自由に太陽光発電メーカーを選べないかも
ハウスメーカーによっては、設置する太陽光発電のメーカーなどが決められており、自分たちが希望するメーカーを選べない可能性があります。太陽光発電システムは、メーカーごとに価格や性能が違いますので、選択肢が少なくなるのは大きなマイナス要素です。 - 固定資産税が高くなるかも
新築住宅に太陽光発電を設置する場合、屋根一体型の太陽光発電システムを選択すると、住宅の一部としてみなされるため固定資産税がかかります。後付けで太陽光発電を設置する場合は、屋根に架台を取り付けてパネルを設置しますので、屋根とは別物と判断され固定資産税がかからないのです。つまり、新築時に太陽光発電を設置する場合は、固定資産税が高くなるかも…と言う点がデメリットです。 - 後付けよりも設置コストが割高な場合も
後付けで太陽光発電を設置する場合は、メーカーや設置業者を自由に選ぶことが可能です。したがって、複数の業者から相見積もりをとり、安い業者を選択するということも可能です。しかし、新築の場合は、ハウスメーカーによりメーカーが限られてしまっているうえに、値引き対応などを受けることができないことから、太陽光発電設備単体の価格は後付けよりも割高になってしまう場合が多いです。ただし、後付けの場合、屋根の補強が必要…などと言った感じに、太陽光発電設置のために付属の工事が必要になることが多いので、施工費自体は後付けの方が高くなる傾向があります。
まとめ
今回は、住宅設備の中でも他の設備にはない投資効果を持つ太陽光発電設備についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、売電価格が下落したことで「元をとれない…」と考えてしまっている人が多い太陽光発電ですが、実は、発電効率の向上や設置コストが安くなっていることから売電価格が下がっているだけで、現在でも太陽光発電の設置は大きなメリットが考えられるものだと言えるのです。もちろん、日々の電気の使用料や設置に適した条件なのかなど、さまざまなシミュレーションを行ったうえで導入するかどうかを判断すべきですが、多くの場合は、導入するメリットの方が大きくなると考えられます。
さらに、太陽光発電の設置タイミングに関しては、新築時に導入しておけば、金利の安い住宅ローンに含められることや、屋根の保証が切れる心配がないなどのメリットも考えられます。一般的に、後付けで導入している方が多いと考えられるものですが、後付けの場合は、屋根の補修からスタートしなければならない場合が多く、太陽光発電自体にかかるコスト以外に多額の費用がかかってしまうと考えましょう。
