今回は、自営業者の方が新築戸建て住宅の購入を検討した際に、非常に大きな問題となってしまう「住宅ローンの審査が通らない…」という問題についてご紹介していきたいと思います。
皆さんも耳にしたことがあると思いますが、フリーランスや個人でお店を経営しているなどの自営業者の場合、収入が不安定になりやすいことから「住宅ローンが組めない…」とよく言われています。こういった情報を個人事業主の方が見かけた場合、「自分は憧れの戸建て住宅を手に入れることができないのでは…」と不安になってしまうことでしょう。それでは本当に自営業者の場合は住宅ローンを組むことができないものなのでしょうか?
最初に行っておきますが、自営業者だからと言って住宅ローンが絶対に使えないというわけではありませんよ!そもそも、自営業者と言っても個人事業主と会社法人の代表者や役員の2つに分類することができるのですが、どちらの方でも住宅ローンを利用することはできます、ただし、会社名義となれば住宅ローンは使えません。
この記事では、自営業者の方であれば絶対におさえておきたい「自営業者の方が住宅ローンの審査に通過するためのポイント」について簡単にご紹介していきたいと思います。
ポイント① 所得が安定していることが重要!
個人事業主などの自営業者が住宅ローンの審査を受ける際に重要なのが、「所得が安定しているのか?」と言うポイントです。以下の点に注意しておきましょう。
自営業者のチェックポイントはここ!
自営業者の場合、売り上げがそのまま所得になるわけではありません。簡単に言うと、売り上げから経費を引いた額が所得として手元に残ることになるのですが、住宅ローンの審査では売上ではなくて所得によって審査が行われるのです。この点が給与所得者との大きな違いです。
住宅ローンの審査を考えると、「所得が3期連続で安定しているのか?」と言うことが大切です。実際に、多くの金融機関では、自営業者が住宅ローンを申し込む場合「直近の3年連続で所得が黒字であること」を条件としています。これは、3期連続で黒字であるということで、安定した事業だと判断ができるからです。逆に、所得が赤字になっている年がある場合には、住宅ローンの審査に通過する事が難しくなってしまいます。なお、3年連続でない場合でも、実績として「利益が出ている」と勘案される場合には、それを重視してくれる金融機関も存在します。
所得に関する注意点としては、各年の所得に波がある場合で、例えば1期目の所得が200万円、2期目が600万円、3期目が200万円だった場合、平均や一番高い金額でみるのではなく、一番低い所得で見る場合が多いということです。金融機関によっては、平均した金額を基準にする場合もありますが、基本的に一番低い所得を基準として審査されると考えておきましょう。
注意点!会社役員の場合、決算書が必要!
自営業者の中でも、会社役員の場合には、個人の所得以外にも、会社の決算書が必要になりますので注意しましょう。法人名義ではないのになぜだ?と思うかもしれませんが、会社役員の場合は、融資期間中において「会社が安泰なのか?」「適正な給与なのか?」と言う点が審査対象になるのです。
したがって、会社役員の方は、自身の確定申告書(所得がわかる書類)に加えて会社の決算書を予め用意しましょう。
ポイント② 税金・ローンの滞納に注意!
当たり前のことですが、税金やローンの滞納がある場合、住宅ローンの審査に大きな悪影響があります。住宅ローンの審査時には、納税証明書の提出を求められるのですが、これは税金の滞納がないかどうかを確認するために行うものです。したがって、住宅ローンの利用を検討した際に、納めるべき税金の滞納がある場合には、必ず納税して証明書を入手してから金融機関に相談しましょう。なお、健康保険料や国民年金などの滞納も、審査に大きな影響をあたえます。
注意点!他の借り入れがある場合、審査が厳しいかも
住宅ローンは、金融機関によって返済比率の上限が決められています。この比率を超える状態であれば、融資を受けることはできません。
一般的に、年収に応じた返済負担比率は30~35%以下を基準としている場合がほとんどで、住宅ローン以外の借り入れを含めて計算されます。したがって、住宅ローンを含めると、基準の返済負担比率が超えてしまう…と言う場合には、審査の通過が難しくなってしまうのです。こういった場合には、他の借り入れを減らしてから申し込む、借入金額を下げるなどの工夫が必要です。
なお、クレジットカードなど、過去に借りていたローンの返済に滞納があった場合、信用情報に登録されてしまう危険があります。住宅ローンの審査では、信用情報の照会も行うため。滞納履歴が残っている方は審査が通りにくくなる場合があります。ちなみに、信用情報は永久に残るわけではありませんので、過去に滞納経験がある方は、念のため自分の信用情報を取り寄せてみるのも良いでしょう。
ポイント③ 事務所兼用にする場合
自宅を事務所兼用にする場合も注意が必要です。この場合は、住居部分の床面積が1/2以上あるかどうかで、住宅ローンの取り扱いが変わってしまうことになります。住宅ローンの対象になるのは「住居部分だけ」と決められているため、事務所兼用にする場合は、事務所部分が原則として住宅ローンの対象外となってしまいます。ただし、フラット35などに関しては、床面積の1/2以上が住居部分の場合、住宅ローンが利用できるなど、金融機関によって取り扱いが異なります。
注意点!住宅ローン控除が受けられないかも
住宅ローン控除は、所得税や住民税を安く抑えることができるため、誰でも利用したいと思うものです。しかし、住宅ローン控除を利用するには、以下のような条件があります。
- 新築または取得の日から6カ月以内に自らが居住すること
- 床面積が50㎡以上であること
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- 床面積の1/2以上が自己の居住用であること
上記のような条件が存在します。つまり、事務所兼用にした場合、これらの条件から外れてしまう危険がありますので、要注意です。
ポイント④ 自営業者でも審査が通りやすい金融機関を利用する!
住宅ローンはさまざまな金融機関が取り扱っています。そして、審査基準と言うものは金融機関によって異なりますので、人によって審査の通りやすさが変わってしまうものなのです。つまり、住宅ローンの審査を通過するためには、自分にとって審査が通りやすい金融機関を見つけるということがとても大切になるのです。
例えば、事業の関係などで、付き合いのある信用金庫や地方銀行などがあれば、そういった金融機関に相談してみるのも一つの手だと思います。自営業者の方であれば、事業資金のメインバンクとして利用していたりしますので、長年付き合っている金融機関がある…と言う場合、意外と簡単に融資してもらえたなんてケースも少なくありません。
注目!自営業者はフラット35が利用しやすい
自営業者の方であれば、フラット35がオススメです。フラット35は、一般的な金融機関の住宅ローンと比較しても、自営業者が利用しやすいと言われています。
なぜかというと、通常の金融機関であれば、3期分の所得が黒字であることなどが条件となるのですが、フラット35の場合、自営業者、会社員に関係なく、申し込み年度の前年の所得で審査してくれます。したがって、事業をスタートしてからまだ3年もたっていない…と言う場合でも住宅ローンの申し込みが可能なのです。
まとめ
今回は、個人事業主や会社役員の方など、自営業者の方が住宅ローンを組む際におさえておきたいポイントをご紹介してきました。
冒頭でご紹介したように、「自営業の場合、住宅ローンの審査が通らない…」という話は、皆さんもよく耳にすることだと思います。しかし、実際には、自営業者だからといって住宅ローンが組めない…というわけではなく、きちんと金融機関の審査基準を掴めていないことから、審査に落ちてしまっているという場合がほとんどなのです。
したがって、自営業者の方が住宅ローンを利用したいと考えている場合、まずはこの記事でご紹介したようなポイントを確認し、自分が審査に落ちてしまう理由があるかどうかを確認しておくのがオススメです。万一、何らかの問題がある場合、その点を解消してあげれば、何の問題もなくローンの審査を通過できるようになると思いますよ!