近年では、太陽光発電などの自家発電設備に加えて、家庭用蓄電池と言った電気を蓄えておくことができる設備が注目されるようになっています。基本的には、昼間に自家発電した電気を蓄電池に溜めておき、それを夜間に使用することで大幅に電気代を削減することができるという点がメリットとみなされています。ただし、家庭用蓄電池は、まだまだ非常に高額な住宅設備ですので、電気代削減効果によって導入コストを取り戻すことはかなり難しい…というのが一般的な認識です。それでは、それほど高額な設備が人気になっているのはなぜなのでしょうか?
実は、太陽光発電と家庭用蓄電池を併用していれば、自然災害によって長期間の停電被害が生じたとしても、普段通りに電気を使用できるというのが大きな理由です。台風や地震などの自然災害が非常に多い日本では、毎年どこかで必ず停電が発生していると言えるような状態ですし、電気代削減に合わせて、そういった災害対策ができる点が人気なのでしょう。
このような状況からも分かるように、日本国内に住むのであれば、「いつ停電が発生してもおかしくない…」という認識をもって、実際に停電が発生した場合、どうすればよいのかを考えておくべきと言えます。そこでこの記事では。突然の停電でパニックにならなくても良いよう、皆さんがおさえておきたい停電対策をご紹介します。
停電時にまずすること
停電というものは突然発生するものですので、パニックになってしまう…なんて方も多いです。それでは、実際に停電が発生した場合には、どういった対処をとればよいのでしょうか?まずは、その停電が「地域全体で起こっているのか?」「自宅だけで起こっているのか?」を確認すべきです。
停電時には、家の中で以下のような事を確認していきましょう。
ブレーカーを確認。停電ならオフにする
まずは、停電が地域全体で起こっているのか、自宅だけなのかを確認してみましょう。窓から近所の家などを確認し、すべての電気が消えているようであれば、地域全体で停電が起きています。自宅だけで停電が起きているのであれば、家全体なのか、家の一部なのかをブレーカーでチェックしてみましょう。
電気の使い過ぎなどでブレーカーが落ちているだけであれば、ONにすればすぐに復旧します。ただし、漏電ブレーカーが落ちてしまっている場合、どこかで水漏れがおきていますので、専門業者にチェックしてもらわなければいけないでしょう。
こういった部分を確認し、どの機器にも問題が生じていないのに自宅だけ停電している…という場合は、最寄りの電力会社の営業所・配電事業所に連絡してください。その逆に、地域全体で停電が発生している…という場合は、ブレーカーを落としておいてください。ブレーカーを入れたままにすると、電気が復旧した際に、一気に家電へ電気が流れ、火災が起きてしまう恐れがあるからです。
関西電力圏内の停電情報について
地域一帯で停電が発生している…、電線が切れているのを見つけた…という場合、大手電力会社の送配電部門に連絡すれば良いです。ただし、広範囲で停電が発生している場合には、電話がつながりにくくなってしまいますので、電力会社のホームページなどで停電情報を確認すると良いでしょう。
関西電力圏内の方であれば、以下のサイトを確認すれば、停電状況や復旧状況などを確認することができます。
> 関西エリア全域の停電情報こちら
連絡先:0800-777-3081
なお、新電力会社の料金プランに契約しているという方であれば、「うちは関西電力に電話しても意味ないのかしら…」と思ってしまうことでしょう。しかし、新電力会社と契約している方でも、停電の確認は大手電力会社(送配電事業者)を確認しなければいけません。
停電中の注意点
それでは次に、停電中に行っておきたい対処についても簡単にご紹介していきます。地域一帯が停電してしまっている…なんて場合、一般の方は電力会社が復旧させてくれるのを待っておくしかなく、停電を直すためにできるようなことはありません。電力会社は夜通し作業して、可能限り素早く復旧させるように頑張ってくれるのですが、実は停電の復旧が住宅火災の原因となってしまう場合もあるのです。
ここでは、停電中に行っておきたい対処についていくつかご紹介しておきます。
家電の電源プラグを抜く
停電から復旧した時の安全を考えて、「電気製品のプラグを抜くこと」も大切です。例えば、発熱する機器の場合は火災のリスクがありますし、回転を伴うような家電の場合、住人が怪我をしてしまうリスクがあります。以下にコンセントを抜いておくべき機器とそのままで良い機器をご紹介しておきます。
- 発熱の危険があるためコンセントを抜く家電
暖房器具、電気ポット、アイロンなど電熱器具に関しては、電源を切り、コンセントからプラグを抜いておきましょう。 - 怪我の危険があるためコンセントを抜く家電
ハンドミキサー、電気ドリルは通電の際に突然回転すると怪我の危険があるので、電源を切り、コンセントからプラグを抜いておきましょう。 - そのままで良い家電
冷蔵庫やエアコンなどはそのままで構いません。
火災や怪我の危険があると思う家電に関しては、上記以外でもコンセントからプラグを抜いておきましょう。なお、通電が再開した時、家中の家電が同時に運転を始めてしまうと、瞬間的に大きな負担がかかってしまうことになるため、ヒューズやブレーカーが落ちてしまうなど、他の家電にも悪影響を与えてしまう恐れがあります。
スマホなどの対処
停電時などは、情報収集をするためスマートフォンが非常に重要になります。スマホがあれば、家族との連絡も取れますし、復旧状況などの確認などもできます。台風などによる停電であれば、天気用法などで被害予想が可能ですし、あらかじめ充電を満タンにしておくということもできますが、それでも停電がいつ復旧するのかは分かりませんし、可能な限りバッテリーが長持ちするように対策を行っておきましょう。
- 画面の明るさを見れる範囲で暗くする
- 省電力モード/低電力モードを選択する
- 通信状況が悪い中では機内モードにしておく
スマートフォンは、電波を探すために多くのバッテリーを消費してしまいます。したがって、電波状況があまり良くない場所であれば、機内モード(インターネットに繋がらなくなります)にしておくことでバッテリーを長持ちさせる事ができます。省電力モードや低電力モードは、一部機能の制限がかかる場合がありますが、こちらもバッテリーを長持ちさせることができるので設定しておきましょう。
停電時は、固定電話や光回線を利用したIP電話が使えなくなりますので、スマホや携帯電話による連絡手段が非常に重要です。
電気が復旧するまでの注意点
停電が発生した場合には、何をすべきかがわからずバタバタしてしまう…という方が多いのですが、上記を参考に、冷静に対処しましょう。それでは次に、電気の再開までに注意しておきたいポイントを簡単にご紹介しておきましょう。
台風や地震などによる災害では、電気だけでなく、ガスや水道も止まってしまう…なんてことがあります。こういったライフラインの中では、電気の復旧が最も早いと言われているのですが、それでも被害が大きければ長期間停電が続いてしまう…ということも考えられます。実際に、2019年に千葉県を襲った台風15号では、一カ月以上も停電が続いた…なんて地域もあったほどです。
冷蔵・冷凍庫の開閉は控える
冷蔵庫や冷凍庫は、開閉によって中の冷気が逃げてしまいますので、可能な限り開閉を控えるようにしましょう。なお、メーカーによると、扉の開閉をしなければ、2時間程度の停電なら冷気は全く逃げないそうです。
ただし、地域一帯が停電してしまった…なんて状況であれば、2時間程度で電気が復旧することの方が珍しいですし、以下のような対策はしておくべきです。
- 冷凍食品や保冷剤で周囲を固める
- 乳製品やアイスクリームなど、傷むのが早い食品から食べる
台風など、事前に対策ができるような災害の場合、ペットボトルに水を入れ、凍らせておくと飲料水としてだけでなく、保冷剤として非常に役立ちます。
季節的な問題について
真夏や真冬に停電が発生してしまうと、エアコンが使えなくなりますので非常に困ってしまうことになります。冬であれば、重ね着などをする、石油ストーブを利用するなど、いくらか対策方法も考えられるのですが、夏場の暑さ対策はなかなか難しい問題となってしまいます。
高齢者や小さなお子様がいるご家庭であれば、できるだけ風通しが良くなるように、対角線上の窓を開けて通風管理をする、自治体の避難所に避難するなどの対策を行うと良いでしょう。最近では、水にぬらすことで冷たくなる熱中症対策グッズなども登場していますし、そういったアイテムを用意しておくのも良いでしょう。
なお最近では、キャンプなどが流行っていることから、一般の方でもガソリン式発電機を所有している方がいます。停電時にこういったものを使用すれば電気を利用することができるのですが、必ず換気しながら発電機を使ってください。ガソリン式発電機の排気ガスには毒性の強い一酸化炭素が多く含まれており、換気せずに使用してしまうと命に係わる問題が発生してしまう危険があります。実際に、窓を閉め切って発電機を使用していたご家族が、一酸化炭素中毒で搬送された…というケースも過去に存在します。
このように、突然の停電が発生してしまうと、多くの家電に頼っている現代人は非常に困ってしまう状況に陥ることになります。こういった事もあり、災害対策のことも考えて、太陽光発電設備や家庭用蓄電池を導入する方が増加しているのだと思います。
なお、地震や台風などの自然災害が多い日本では、いつ・どこで停電被害が生じてもおかしくないと言われています。そのため、普段から停電時に役立つアイテムを準備しておくことが非常に重要だと考えておきましょう。誰もがあらかじめ行っておきたい停電対策は、以前別の記事でご紹介していますので、ぜひそちらの記事もご確認ください。
関連記事:災害大国と言われる日本では、停電への備えがとても大切!
まとめ
今回は、突然の停電が発生してしまった時に、パニックにならないためにおさえておきたい対処法をご紹介してきました。停電に関しては、まずは地域一帯で起きているのか、自宅だけが停電しているのかを確認しましょう。万一自宅だけで停電が発生している場合、電気の使い過ぎなどでブレーカーが落ちてしまっているなんてことも考えられます。なお、ブレーカーが落ちているだけの場合でも、漏電遮断器が落ちている場合、どこかで電気が漏れているということですので、火災や感電事故の危険性があると考えましょう。タコ足配線などでも漏電遮断器が落ちてしまうことがありますが、一般の方が漏電原因を特定するのはなかなか難しいので、電気工事店などに調査してもらうのがオススメです。
最近の日本は、台風の大型化や集中豪雨による水害など、今までになかったような自然災害も増えています。さらには、南海トラフ地震や首都直下地震など、超巨大地震の発生確率が高くなっていると言われていますし、万一の長期的な停電に備えるためには、自家発電設備と蓄電システムを用意しておくのがオススメです。まだまだ高額な住宅設備ですが、光熱費削減効果もそれなりに高いですし、ご家族の安全を守れることを考えれば、決して高すぎる設備ではないと思いますよ。