『ローコスト住宅』は、一般的な注文住宅などよりも、建設費用を抑えられることで、安価でマイホームが手に入ると近年非常に高い人気を誇っています。一生で最も高額なお買い物といわれる家の購入ですが、できるだけ安価に済ませたいと思うのは当然のことですし、「安価で家が手に入る」という魅力があるローコスト住宅が注目されるのも頷けますね。
しかし、『安価』だという非常に大きなメリットがあるローコスト住宅ですが、何のデメリットもないのかというとそういうわけではありませんし、何も考えずに安いということだけでローコスト住宅に手を出してしまうと、新居での生活がスタートしてから後悔してしまう…なんて危険があるのです。
そこでこの記事では、これから家の購入をご検討中の方のため、ローコスト住宅に関する基礎知識や、実際にローコスト住宅を選択する場合の注意点をご紹介していきたいと思います。
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ローコスト住宅とは?
それでは、近年その注目度が高くなっている「ローコスト住宅」について、その基礎知識やどういったメリットがあるのかについて簡単にご紹介していきたいと思います。
ローコスト住宅は、名称から分かるように一般的な注文住宅と比較して安く建てることができる住宅の事を指しています。安く建てられるのは、建築部材の材料費や人件費などを可能な限り削減しているというのが理由だと言われています。「どれぐらい安いの?」と気になると思いますが、一般的な新築の注文住宅の平均価格が3,000円前後だとすると、ローコスト住宅は1,000~2,000万円程度で建てられると言われています。
家の価格が1,000万円以上違うとなると、「安すぎて品質が心配…」と考えてしまうものですが、ローコスト住宅だからと言って、極端に品質が劣るなんてことはありません。近年では、注文住宅の新たな選択肢として人気になっていることから、大手ハウスメーカーはもちろん、地域密着の工務店など、幅広い業者がローコスト住宅を取り扱うようになっています。
家を建てたいけど「予算が限られている…」という方や、家のデザインなどに特にこだわりはない…なんて方にとっては、多くのメリットあると考えられるのでオススメです。
ローコスト住宅のメリットとは?
ローコスト住宅のメリットといえば、やはり一般の注文住宅などと比較しても「安く家が建てられる!」という点です。しかし、ローコスト住宅のメリットは安さだけでなく、以下のようなさまざまなメリットあると言われています。
- 総額が安いので、住宅ローンが組みやすい
- 住宅ローンの支払い負担も少なくなる
- 完成までの期間が短い
- 自己資金がまだ少ない人でも、家の購入が可能
- オプションが豊富
ローコスト住宅は、シンプルな間取りで使用建材などが決まっていることから、安さを実現しています。また、使用建材が決まっているということは建てるのが容易になりますので、工期が短くなる、後々のリフォームや建て替えも容易になるなどといったメリットが得られます。
他にも、自己資金がまだ少ない方でも住宅ローンが組みやすいので、若い人でもマイホームを購入しやすくなるという点がメリットです。
ローコスト住宅のデメリットとは?
ローコスト住宅は、メリットばかりではなく、いくつかのデメリットも存在していますので、以下の点は頭に入れておいた方が良いでしょう。
- 設計の自由度が低い
- 基本的に設備のグレードが低い
- 断熱性や耐震性が高くない
- メンテナンスコストが割高
ローコスト住宅は、一般の注文住宅と比較すれば、安い価格帯の材料や設備を使用しているため、日常生活上の品質に問題は感じなくても、耐久性の低さなどから寿命が短いという大きな欠点が存在します。そのため、長くその家に住みたいと考えている人にはあまり向かないと言われています。
ローコスト住宅が安い理由は?
ローコスト住宅は、さまざまな部分の経費を削減し「安さ」を実現しています。ローコスト住宅を提供する業者は徹底したコストカットを行っていると言われており、家の建築費を安くするため、以下のようなコスト削減対策を行っていると言われています。
- 広告宣伝費の削減
- 材料コストの削減
- 設備費の削減
- 人件費の削減
ローコスト住宅は、一般の注文住宅のように何でもかんでも希望を聞いてもらえるというものではありません。業者側がいくつかのプランを用意しており、その中から顧客が建てたい家を選択するというのが前提となっています。こういった事から、「建てる家の規格」がある程度定まっているため、家を建てるのに必要な材料や設備を大量発注することができ、大幅な建築費削減が実現するのです。
こういった業者の努力によって、一般的な注文住宅と比較すれば、ローコスト住宅の坪単価は約半分程度まで下げられると言われています。
ローコスト住宅は後悔する人も少なく無い
ここまでの説明だけで考えれば、憧れのマイホームを安く手に入れることができるローコスト住宅は、これほどありがたいものはないと考えてしまうものですよね。しかし、ローコスト住宅を選択した人の中には、実際に新たな家で生活を始めてみると、後悔してしまった…という方も少なく無いと言われています。
ここでは、ローコスト住宅を選んで「失敗した…」と思ってしまった方について、どこのポイントが気に入らなかったのかをいくつかご紹介しておきます。
①想像以上に安っぽい家に見える…
ローコスト住宅は、色や形などの規格がある程度決まっているという特性上、どうしてもシンプルな見た目の家になってしまいがちです。もちろん、シンプルで落ち着いた雰囲気の家が好みという方であれば良いのですが、そうではない方にとって、出来上がった家が「想像以上に安っぽい…」と感じてしまうようです。
ローコスト住宅は、企画を統一して材料の大量仕入れをすることでその安さを実現していますので、設備などもグレードがおさえられる傾向にあります。したがって、外観イメージや内装を豪華にしたい、高性能な設備を導入したいなどといった人には向いていないと考えておきましょう。
②メンテナンスコストが高い
ローコスト住宅に使用されている建材は、価格がおさえられている分、高価格帯の建材よりはどうしてもその性能が劣ってしまいます。したがって、意外に早く外壁塗装の剥がれが生じたり、設備が故障して買い替えが必要になったりと、日々の生活にかかるメンテナンスコストが割高になってしまうのです。
ローコスト住宅は、一般的な注文住宅と比較すれば、短いスパンで修繕や設備の入れ替えが必要になりますので、メンテナンスにかかるコストが割高になってしまうのは覚悟しておきましょう。なお、建築時のコストがかなり抑えられますので、総額は安くなるとは思います。しかし、ランニングコストが高いというのは、結構大きな負担になりますので、後悔に繋がってしまう可能性があるのです。
③断熱性が低く住みにくい…
近年の家づくりは、高性能な建材を利用した高気密・高断熱住宅が当たり前の時代となっています。しかし、ローコスト住宅の場合は、建築費用を抑えるために、気密性や断熱性のグレードも低い建材が使用されることが多いです。そのため、夏の暑さや冬の寒さの影響を強く受けてしまうため、地域によっては住みにくい家…と後悔してしまう方がいるのです。
寒暖差の激しい地域であれば、外気温の影響が非常に大きくなるため、夏や冬場の光熱費の負担が大きいと感じてしまい、住みにくいと考えてしまう人が多いです。ローコスト住宅は、安く家が手に入るという非常に大きなメリットがある一方で、快適にすごすことが難しい家になってしまい、生活の質が落ちてしまう恐れがあると覚えておきましょう。
④自然災害の心配がある…
ローコスト住宅であっても、国が定めている最低限の耐震基準などを満たして家を建てなければいけません。そのため「耐震基準は満たしているので安心です!」などと営業担当者からは説明をされるかもしれません。ただし、耐震基準をクリアしているとはいえ、ローコスト住宅の場合は最低限の耐震性しかないという場合がほとんどです。そのため、大規模地震などの自然災害が発生した場合には、大きな被害が生じてしまうリスクが高くなってしまうのです。
日本は、地震や台風などの自然災害が非常に多い国として有名ですし、家だけでなく、大切な家族の安全の事を考えて家を建てなければいけません。安く建てることばかりに固執して、安全性を犠牲にするのが本当に正しい選択なのかはよく考えるべきでしょう。
ローコスト住宅を選択して後悔しないためには?
それでは最後に、ローコスト住宅で家を建てると決めた時、将来的に後悔しなくても良いようにするためのポイントをいくつかご紹介しておきましょう。ローコスト住宅は、さまざまなメリットがある一方で、その選択を後悔してしまうという方も少なく無いのです。
ローコスト住宅を選択する場合は、以下の点に注意しておきましょう。
①生活スタイルに合っているのかをよく考える
家を建てる場合、そこに何十年も住んでいくということを想定しておかなければいけません。当然、年月が経てば家族構成なども変化していきますし、部屋数が足りなくなったり、生活動線に不便を感じるようになったりすることが考えられます。したがって、ローコスト住宅を選択する場合には、将来的に「生活しにくくなってきた…」などという不満を生まないようにするため、自分たちが考えるライフプランに合致するのかをよく考えておきましょう。
なお、ローコスト住宅は、無駄を可能な限り省いてコスト削減を実現していますので、家族全員の意見を全て取り入れるのはかなり難しいです。したがって、何を優先して家づくりを進めるのかもよく相談してきまましょう。
②土地選びも慎重に
ローコスト住宅を建てる際には、土地選びの段階からこだわりを持っておくべきです。そして、ローコスト住宅を建てる土地を選ぶときには、土地の安さを重視するのがオススメです。一般的に、住宅を建てるのに適しているのは整形地なのですが、不整形地でも建物を建てるのに問題ないのであれば、安く購入できるというメリットがあります。
土地の購入費用を抑えることができれば、それだけ住宅に費用をかけることができるようになりますので、バランスの良い住宅を実現する事が期待できます。
③保証面をしっかりと確認する
ローコスト住宅を建てる場合、アフター保証の有無は絶対に確認しておかなければいけません。上述したように、ローコスト住宅は、建てた後にさまざまな問題が生じる可能性がありますので、どういった内容の保証で、その期間はどれぐらいあるのかをしっかりと確認しておきましょう。
アフターフォローは、業者によって内容が異なりますし、中にはアフター保証をつけていないなんてこともあるのです。ここを無視してしまうと、家を維持していくためのメンテナンスに困ってしまう…なんてことが予想できます。
④必要と思う部分はケチってはいけない
ローコスト住宅は、一般的に最も安い低グレードの材質が使用されています。したがって、設計段階で材質や品質に不満を感じるようであれば、自分が納得できるグレードのものに変更してもらうことがオススメです。
もちろん、グレードを上げるためにはオプション費用が必要ですが、暑さや寒さで不快な思いをしたくない…、光熱費を抑えたい…などと考えているのであれば、必要な出費なのです。ローコスト住宅は、細かな部分に注目することで、自分に最適な性能を持った家を実現することも可能ですので、安さだけに注目するのではなく、そこで生活することを想定して考えましょう。
まとめ
今回は、憧れのマイホームを安く手に入れることができるローコスト住宅の基礎知識をご紹介してきました。ローコスト住宅は、一般的な注文住宅と比較すれば、半分近い価格で家を購入することができるようになるので、十分な頭金を準備できていないような若い世代でも家を購入できると人気になっています。
しかし、建築コストを抑えるために、さまざまな部分をカットしていますので、場合によってはあなたが「絶対に譲れない!」と思う物が削減されていた…なんてことが考えられるのです。ローコスト住宅は、非常に多くのメリットがあるのも確かなのですが、安さだけに注目してしまうと、将来後悔してしまうことが考えられますので、注意しましょう。