エアコンは「除湿の方が電気代が安い!」はウソ!?冷房と除湿の関係を知っておこう!

今回は、これから迎える本格的な夏に向けて、室内を冷やすために利用するエアコンの電気代について解説していきたいと思います。

年々猛暑化が進んでいると言われている日本の夏ですが、今や真夏になるとエアコンなしでは日常生活を進めていくことすら難しい…なんて暑い日が続くようになっています。エアコンの冷房をつけておけば、真夏でも快適な室内空間を保ってくれますので、非常に助かるのは間違いないのですが、どうしても気になるのが「冷房の電気代…」ですよね。特にコロナ禍の現在は、在宅時間が非常に長くなっていることから、例年の夏と比較しても冷房にかかる光熱費が非常に大きな負担になってしまうのではないか…と今からとても不安だという人が非常に多いように思えます。

そこで、インターネットなどで見かけた「冷房よりも除湿の方が電気代が安い!」という情報にすがってみたいと考えている方も多いのではないでしょうか?高温多湿の気候である日本では「湿度が下がれば体感温度が下がる!」ということを知っている人も多く、電気代が安いのであれば冷房よりも除湿運転に切り替えてみよう!と考える方が非常に多いのです。実際に梅雨時期などであれば、常に除湿運転をしているという方も多いのではないでしょうか?
しかし、皆さんに注意しておいてほしいのは、エアコンに搭載されている『除湿機能』の種類によっては、冷房よりも除湿運転の方が電気代が高くなる…ということです。何も考えずに除湿運転で夏を過ごしてしまうと、電気代がとんでもないことになりますので、ぜひ以下の情報を頭に入れておきましょう!

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エアコンの「除湿(ドライ)」と「冷房」はどっちがお得?

夏場にエアコンを使用する場合には、『冷房運転』だけでなく『除湿(ドライ)』機能を利用する方も少なくありません。エアコンのリモコンを見てみればわかりますが、「冷房」「暖房」に並んで、「除湿」のボタンもかなり目立つ場所に配置されていますし、エアコンの機能としてもメイン機能の一つと言えるのです。しかし、暖房や冷房に比べれば、この除湿を上手に使い分けているという方は意外に少ないのではないでしょうか?冬場は問答無用で「暖房」機能を利用しますし、暑い夏に室内の空気を冷やす場合は「冷房」を選択しているという方がほとんどだと思います。それでは、この冷房と除湿に関しては、どちらの方が電気代が安くなるのでしょうか?

機能違いなどは下で紹介するとして、電気代の結論からご紹介しておきますが、実は「除湿の方が安い場合もあるが、高くなる場合もある!」というのが答えになってしまうのです。「答えになっていないのでは…」と感じた方が多いと思いますので、以下で冷房と除湿の仕組みについてもう少し詳しくご紹介していきたいと思います。

エアコンの「除湿(ドライ)」と「冷房」の違いとは?

夏場にエアコンを利用する場合、「冷房」か「除湿」機能を利用することになるのですが、どちらも暑い夏の室内を快適にしてくれる機能となります。それでは、どっちを使っても快適な環境になるこの二つの機能については、何が異なるのでしょうか?

室内の温度を下げるのが冷房機能

改めて「冷房」機能の説明をする必要などないかもしれませんが、これは「部屋の温度を下げる」ことを目的とした機能です。室内機と室外機をつなぐ配管の中に、冷媒が循環しており、熱交換器を通して室内の熱を奪い、冷えた空気を室内に戻すことで室温を下げているという仕組みになっています。

ちなみに。空気を冷やすときには、温度の急激な低下によって飽和した水蒸気が結露水として生じます。そのため、この結露水を室外に排出するためにドレンホースも取り付け排水しています。この構造から分かるように、実は冷房運転についても、空気中の湿気を結露水として排水していることから、室内の除湿も兼ねているのです。

室内の湿度を下げるのが除湿機能

次が『除湿』機能についてです。こちらもその名称から分かるように、室内の湿度を下げることを目的とした機能です。一般的なエアコンについている「弱冷房除湿」については、上述した冷房と同様の仕組みで室内の湿度を下げていっています。
なお、冷房機能に関しては、室温を素早く下げることが目的なのですが、除湿は「湿度を下げる」ということが目的ですので、室内の温度を急激に冷やさないよう「弱冷房」で運転して湿度を下げていくようになっています。

エアコンの『除湿』機能にも種類があるって知っていますか?

エアコンの除湿機能は、上述したように室内の湿度を下げることが目的の機能です。そして実は、あまり知られていないことなのですが、エアコンの除湿機能にも「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類が存在しているのです。
除湿機能の本来の目的だけで考えれば、室温は下げずに湿度だけ下げる機能というのが一番目的にかなっているということになりますよね。しかし、「弱冷房除湿」というものは、あくまでも「弱い冷房機能」ですので、室温も一緒に下げてしまうことになるのです。そして最近のエアコンでは、主に上位機種に「再熱除湿」という除湿機能が搭載されており、この除湿は今までの「弱冷房除湿」とはその仕組みが異なっています。

再熱除湿の仕組みとは?

弱冷房除湿は、弱い冷房機能という感じですので、部屋を冷やしながら除湿していきます。しかし、再熱除湿の場合は、冷やした空気をエアコン内部であたためなおしてから室内に送風するという機能になっています。つまり、除湿の際に室温を下げることなく湿度だけを下げることができるのです。
梅雨時期などであれば、湿気が多く不快に感じるけれどまだ肌寒い…なんて日もあると思うのですが、こういった日であれば、再熱除湿を利用していれば、快適な室温を保ったまま湿度だけが下げられるようになるわけです。さらに、再熱除湿は、弱冷房除湿と比較すると、除湿量も大きいというメリットがあり、除湿だけを目的にすれば、非常に大きなメリットがある機能になっています。

ただし皆さんに注意しておいてほしいのは、再熱除湿は「冷やした空気をあたためなおして送風する」という仕組みから、消費電力は『冷房』『弱冷房除湿』よりも大きくなってしまうというデメリットがあるのです。

結局、最も電気代が安くなるのはどの機能?

冒頭部分で、「除湿の方が安い場合もあるが、高くなる場合もある!」とご紹介していましたね。ここまでの説明を見て、既に「そういうことか…」とピンと来ている方もいるかもしれませんが、エアコンの除湿機能にも「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の二種類が存在するため、「冷房よりも除湿の方が安い!」とひとくくりにすることができないのです。
ここで皆さんが気になるのは、夏場の室内を快適な空間にしたいと思った時には、「結局、どの機能を使えば最も電気代が安くなるの?」ということではないでしょうか?

これについては、以下のような順番で電気代が高くなっていきます。

  • 最も電気代が安いのは⇒弱冷房除湿
  • 次に電気代が安いのは⇒冷房
  • 最も電気代が高いのは⇒再熱除湿

電気代の安さは、上記のような順番になります。

巷よく言われる「冷房より除湿のほうが電気代が安い!」という情報は、弱冷房除湿を使用する場合に限っての話だと覚えておきましょう。なお、この弱冷房除湿に関しては、緩やかに室温まで下げるという感じで、仕組み自体は冷房と一緒です。単なる『弱冷房』機能を使っているといった感じなので、通常の冷房よりは消費電力が少なく、電気代が安くつくということです。
再熱除湿の場合は、一度冷やしてからあたためなおすという仕組みですので、当然消費電力が大きくなってしまうのです。この機能は、夏場に使っても、湿度は下がるものの、室温は下がらず電気代まで高い…という機能になりますので、注意が必要です。エアコンも機能がたくさん搭載されるようになっていますので、それぞれの機能がどういったものなのかはしっかりと調べましょう。

なお、自分が使用しているエアコンについて、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」どちらの除湿機能が搭載されているのかは、品番などでネット検索してみると良いでしょう。富士通の「ノクリア」やコロナの「Wシリーズ」に関しては、切り替えができる仕様になっていますが、その他のエアコンの多くは、上位モデルが再熱除湿となっているのが一般的です。以下に、エアコン主要メーカーの公式サイトへのリンクを設置しておきますので、ご自身の家のエアコンの除湿は、どちらの仕組みなのか調べておくのがオススメです。

> 富士通のエアコン一覧
> 日立のエアコン一覧
> 三菱電機のエアコン一覧
> 東芝のエアコン一覧
> パナソニックのエアコン一覧
> ダイキンのエアコン一覧

まとめ

今回は、夏場にエアコンを使用する場合に迷ってしまう方が多い「冷房と除湿はどっちが安いのか?」という問題についてご紹介してきました。皆さんも、「冷房よりも除湿の方が電気代が安い!」という情報を耳にしたことがあると思うのですが、これはあくまでも『弱冷房除湿』機能を使って除湿を行う場合に限ります。この除湿機能に関しては、あくまでもパワーを落とした『冷房』機能ですので、通常の冷房機能を使用するのと比較して、消費電力が少なくなるのは当たり前なのです。

しかし、上位モデルのエアコンに買い替えしたばかりなんて場合、例年の夏と同じく何も考えずに除湿機能を使ってしまうと、室温が下がらないどころか電気代がかなり高くなってしまうのです。再熱除湿の場合、一度空気を冷やして除湿して、あたためなおしてから送風するという仕組みになりますので、消費電力はかなり高くなってしまいます。一説によると、再熱除湿は冷房の電気代より1.3~1.4倍ほどになると言われていますので、電気の請求が届いたときに目が飛び出るほどの金額になっている…なんてことも考えられます。

夏場のエアコンの悩みに関しては「エアコンが効きにくい…」なんて話も多いですが、やはり気になるのは電気代ですので、搭載されている機能の仕組みをきちんと理解して、上手に使い分けるようにしましょう!

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