今回は、建売住宅を購入する前に、皆さんが気を付けておきたい注意ポイントをご紹介していきたいと思います。建売住宅は、建築会社・不動産会社によって、既に建てられた住宅を購入するものです。最近では、完成前に売りに出されることも増えているのですが、住宅の間取りなど自分の意見や希望が全て取り入れることはできないものの、注文住宅よりも低コストで憧れの一戸建てを購入できると言う点が魅力です。
例えば、住宅支援機構が行っているフラット35利用者調査では、2019年度における土地付き注文住宅の平均所要資金が4,257万円だったのに対し、建売住宅の場合であれば平均3,494万円になっているなど、同じ土地付き一戸建て住宅を取得するのにもかかわらず750万円以上の開きがあるのです。建売住宅は、土地や建材の取得方法など、さまざまな部分でコスト削減を実現しており、特別なこだわりなどを持っていない方からすると、コスト的なメリットが非常に大きいと言えるのです。
しかし、当然のことですが、建売住宅がメリットばかりあるというわけではなく、単に安いから…という理由だけで飛びついたのでは、購入後に後悔してしまう結果を招きかねません。そこでこの記事では、建売住宅の購入前に「ここはチェックしておきたい!」と思えるいくつかのポイントについてご紹介していきたいと思います。
「どこまで妥協できるのか?」という基準を決めておく
建売住宅は、既に建てられた住宅を購入するという手段です。したがって、建売住宅の場合は、建物の間取りや住宅設備などがすべて決まっており、購入者に何らかの希望や意見があったとしても、ほとんどの場合、それらが反映されることはありません。
もちろん、建売住宅は「低コスト」というメリットがあるため選ぶものですので、ある程度の妥協が必要だということは誰もが理解していると思います。しかし、「どこまで妥協するのか?」というラインを家族間で決めておかなければ、いつまでたっても購入に踏み切れない…なんてパターンになってしまいます。また、何も考えずに購入してしまうと、住んでみると収納が少なすぎて不便だ…など後悔してしまう結果を招いてしまう危険があります。
このような結果を招かないためには、『立地条件』『住宅設備』『間取り』など、ぜったに譲れない優先事項と、妥協できるラインを明確にしておきましょう。
周辺環境について
建売住宅を購入する時には「自分の希望にかなった建物か?」「予算内の物件なのか?」というポイントを重視する方が多いです。しかし、建物本体より注意しておきたいのが周辺環境についてなのです。
建売住宅の場合、建物そのものは当然として、周辺環境を選ぶこともできません。基本的に、全ての好条件がそろった物件に出会えるなどといった事はほとんどないと考えておかなければいけません。周辺環境については、住んでからの日常生活に密接な関係がありますので、この部分も優先順位をしっかりと決めておきましょう。
例えば、以下ようなポイントから周辺環境の優先順位を決めると良いでしょう。
日常生活に必要な施設について
日常生活を進める上で、以下のような施設が近所にあるのかどうかは意外に重要です。
- 買い物について・・・スーパー、コンビニ、商店街など
- 医療施設について・・・病院、薬局、大規模病院までの距離など
- 公共施設について・・・役所、銀行、学校、保育園、塾など
買い物の利便性は、日常生活でも非常に重要なポイントになります。
交通環境について
コロナ問題の影響でテレワークなどが増えていますが、出勤や登校の利便性も考えておいた方が良いです。
- 交通機関について・・・利用できる交通機関、最寄り駅までの距離 など
- 道路状況・・・自宅前の道路状況、幹線道路までの距離、渋滞状況 など
幹線道路沿いの場合、夜間の交通量による騒音問題も注意しておきましょう。
生活環境について
小さなお子様がいるご家庭などであれば、周辺の安全性やにぎやかさも気にしておくべきです。
- 公園、緑地など、子供を安全に遊ばせる場所が近くにあるか
- 悪影響が懸念される施設・・・パチンコ、歓楽街、風俗店、工場 など
- 周辺の治安・・・夜の人通りや外灯の数など
隠れた部分に不具合リスクがあるかも
建売住宅は、既に完成した住宅を購入するわけですので、工事期間中にチェックをすることができません。例えば、建物にとって非常に重要な基礎部分や構造体の状況なども、一度も確認することなく購入しなければいけませんので、どうしても「隠れた部分の不具合発生リスク」をゼロにすることはできないのです。
こういった不具合リスクを解消するためには、何より信頼できる建築会社・不動産会社から物件を購入するというのが一番です。しかし、この「信頼できる会社を探す」ということが最も難しい部分でもあり、これに関しては実際に話してみた時の雰囲気や過去の実績などで判断するしかないでしょう。
ちなみに、費用がかかっても構わないというのであれば、ホームインスペクション(第三者による検査)を行うという方法もあります。これにより、隠れた部分もある程度チェックできますので、購入後に後悔するぐらいなら、思い切って依頼しても良いと思います。
図面・書類に不備がないか
売買契約をする際には、必要な書類が揃っているのかと言う点が非常に重要なポイントです。注文住宅の場合でも同じなのですが、建売住宅の場合は、書類によって建物の品質や内容を確認しなければならないのですから、念入りにチェックする必要があります。
なお、初めて家を購入する人は、「そもそもどんな書類があるのか分からない…」という場合も多いでしょう。基本的には、以下のような書類が存在しますので、それらが揃っているのかチェックしましょう。なお、会社によっては必ずしもすべての書類があるわけではありません。
- 建築確認関係の書類・・・建築確認申請副本、確認済証、、検査済証
- 重要事項に関する書類
- 図面関係・・・設計図書、竣工図書、施工写真
- 保証関連の書類
- 導入設備の各種取扱説明書
- 地盤調査関係の書類
- 住宅性能性能評価書
- アフターサービスに関する書類
- 残工事に関する書類(あれば)
保証の有無
保証の有無も重要です。建売住宅といえども、「新築」という意味では注文住宅と変わりません。したがって、10年間の瑕疵保証責任は義務付けられているのです。
瑕疵保証責任については義務ですので、売買契約書などに記載されているかは関係ありません。しかし、建築会社独自の保証に関しては、きちんと保証書などが用意されているのか確認しておかなければいけません。例えば、『建物保証』『外壁塗装の保証』『シロアリ保証』などをつけている会社は多いので、そういったものの保証書があるのかは確認しておきましょう。
> 瑕疵保証責任とは
住宅価格に含まれているのは?
あなたが支払わなければならないお金の部分ですので、ここもチェックしておきましょう。例えば、不動産広告などで「本体価格3,000万円」とあれば、誰でも「3,000万円で家が手に入る!」と考えてしまいますよね。しかし、こういった広告に記載されている金額というものは、ほとんどの場合最低限の仕様にかかる価格のことで、多くの方が欲しがるオプション設備などは別途費用がかかってしまうのです。
広告ですので、できるだけ安い価格で人の目につきたい…と考えて出しています。したがって、実際に打ち合わせしてみると、想定していた予算を大幅に上回ってしまう…なんてことも珍しくありません。他にも、給水管引き込み工事や外構工事などに関しては、ほとんどの場合、付帯工事として別途費用がかかってしまいことになります。
なお、住宅購入後にも、それなりの金額がかかってしまいますので、その辺りもしっかりと想定して住宅購入費の予算を想定しておきましょう。
関連記事:新築戸建て購入時の注意点!忘れてはいけない購入後のお金について!
まとめ
今回は、これから建売住宅の購入を検討している方のため、建売住宅購入前にしっかりとチェックしておきたいポイントをご紹介してきました。
建売住宅は、既に建築された住宅を購入することになりますので、家の間取りや外観デザインなど、気に入ったものを購入することができます。さらに、土地取得や建材の部分で大幅なコストカットを行っていますので、注文住宅を購入するのと比較すれば、かなり低コストで憧れの戸建て住宅を手に入れることができるのです。
しかし、建売住宅の場合には、外観や導入されている設備など、目に見える部分の確認はできるものの、目に見えない部分の確認が何もできない…というリスクがある事は忘れてはいけません。また、建物自体は選べるものの、周辺環境に関しては、自分たちが合わせるしかありませんので、「建物の好みを優先するのか、周辺環境や利便性を優先するのか?」など、住宅を購入する時の優先順位を決めてから物件探しに動くようにしましょう。
優先順位や妥協ラインを決めておかなければ、どれも一長一短でなかなか住宅の購入に踏み切れない…なんてパターンが非常に多いです。