今回は、日本国内に住んでいる方が、普段から考えておきたい『停電への備え』についてご紹介していきたいと思います。
皆さんもご存知のように、日本は諸外国と比較しても、地震や台風など自然災害が非常に多い国として有名です。台風に関しては、夏の終わりごろから秋にかけて必ず複数の台風が上陸し、その規模によって建築物の破損や河川の氾濫、大規模な停電被害を引き起こしています。ここ数年のことを考えても、昨年関東地方を襲った台風15号や19号では千葉県全域に長期間の停電被害を引き起こしたり、関東から東北地方などの広い範囲に浸水被害をもたらせてしまいました。2018年には、むとうの家がある関西地方に台風21号が上陸し、誰も予想もし得なかったほど甚大な被害をもたらせたのは記憶に新しいのではないでしょうか?
こういった台風以外にも、大規模な地震や集中豪雨などによる水害が考えられる日本では、自然災害で停電が発生しても、家族の安全を守るための備えをしっかりとしておかなければいけないのです。そこでこの記事では、いつ発生するか分からない自然災害による停電に備えるため、普段から準備しておきたい備えをご紹介します。
普段から行っておきたい停電の備え
それでは、自然災害によって引き起こされる停電対策についてご紹介していきましょう。災害による停電被害については、急に起こるものですので、普段からきちんと停電への備えをしておくのがとても大切です。ここでは、特に重要度が高いと考えられる備えについてご紹介しておきます。
食料や飲料水の備蓄
災害による停電を想定した場合には、最低限3日分の食料や飲料水を備蓄しておく必要があると言われています。当然、これはご家族の人数分を備えておきましょう。
大規模停電が発生するような災害となると、避難所などが開設されるのですが、避難所に十分な支援物資が集まるまでには数日間の時間を要します。したがって、避難所に避難することを想定していたとしても、自分たちが数日間を乗り切るための非常食や飲料水は用意しておきましょう。特に、小さなお子様がいるご家庭であれば、粉ミルクなどを用意しておくのが重要です。避難所に避難しても、小さなお子様用のミルクなどはなかなか手に入らないと言われています。
☑備蓄量の目安
非常時の備えとして備蓄しておきたい食料や飲料水については、日本政府のサイトなどでも紹介されています。以下を参考に備蓄する量を検討しましょう。
- 飲料水 3日分(1人1日3リットルが目安)
- 非常食 3日分の食料として、ご飯(アルファ米など)、ビスケット、板チョコ、乾パンなど
なお、大規模災害を想定する場合には、1週間分の食料と飲料水の備蓄が望ましいとされています。
参考:首相官邸「災害に対するご家庭での備え」
衛生管理・体調管理のためのもの
自然災害による停電が発生した場合、普段とはかなり環境が異なることになりますので、体調を崩してしまう人が多くなります。したがって、衛生管理や体調管理に必要と思われる物品も準備しておきましょう。
例えば、ウェットティッシュや除菌スプレーなどを用意しておけば、手洗いなどが難しい場合でも衛生状態を保つことが可能になります。特に、免疫力が低い乳幼児や高齢者が家族にいる場合には、衛生状態を保つためのアイテムを多めに用意しておきましょう。
他にも、停電が発生してしまうと、エアコンやヒーターなどの電気製品が使用できなくなってしまいます。そのため、冬場の停電に備えるため、カセット式のストーブや毛布など、暖を取るためのアイテムを用意しておくと良いでしょう。夏場に関しては、熱中症の危険が出てきますので、電池式の小型扇風機や、冷却タオルなど熱中症対策をできるグッズを用意しておくと良いでしょう。
情報収集のためのラジオ
停電が発生した場合には、テレビやパソコンなどを利用して最新情報を得ることができなくなってしまいます。最近では、多くの方がスマートフォンを所持していますので、スマホを利用すれば難なく情報収集することができると考える方も多いのですが、いつ充電できるようになるか分からない中、何も考えずにスマホを利用してしまうと、電池切れで連絡手段すらなくなってしまう…なんて恐れもあるのです。
したがって、自然災害による停電に備えることを考えた場合、電池で利用できるラジオを1台用意しておくのが望ましいです。停電時には電池を利用するアイテムが活躍しますので、予備の電池は多めに準備しておくと良いでしょう。
モバイルバッテリー
電池で利用できるタイプや充電式など、さまざまなモバイルバッテリーが登場していますが、これらを用意しておくと非常に便利です。特に、ソーラー充電式のモバイルバッテリーがあれば、気兼ねなくスマートフォンなどを利用できます。
一般的なモバイルバッテリーはUSBで給電するタイプなのですが、最近ではコンセント付きである程度の容量を持つものもありますので、小型蓄電池としてそういったものを用意しておくのも良いかもしれませんね。
照明関係
自然災害はいつ発生するか分かりませんし、停電も日中に発生するとは限りません。したがって、夜間の停電に備えて、明かりを確保しておくのも大切です。
特に地震による停電などであれば、家の中にさまざまなものが散乱してしまい、暗闇の中で慌てて歩き回る方が危険な場合も少なくありません。したがって、ご家族の寝室には、それぞれわかりやすい場所に懐中電灯を用意しておくのがオススメです。
停電対策などとして、ロウソクがポピュラーですが、地震による停電の場合は余震でロウソクが倒れてしまい、火災が発生してしまう…なんてことが考えられますので、電気照明の方が安心です。最近では、充電式のLEDランタンなどが通販でも手に入りますので、停電対策として用意しておくのがオススメです。
生活用水の確保
災害による停電の場合、断水も同時に発生してしまう危険があります。したがって、台風などあらかじめ被害の予測が可能な災害の場合は、生活用水の確保もしておきましょう。
地震は「いつ・どこで」発生するか分かりませんが、台風に関してはあらかじめ進路予測や規模などの情報を確認する事が可能です。したがって、台風の上陸前にお風呂などにたっぷりと水を貯めておくのがオススメです。断水が発生してしまうと、トイレが流せなくなる…など、衛生環境が悪くなる可能性がありますし、こういった水の用意は非常に大切です。
ハザードマップの確認
ハザードマップは、国や自治体が公表しています。これは、その地域でどういった災害が考えられるのかや、浸水や土砂災害の危険がある場所、安全な避難所の場所やそこまでの避難経路などが掲載されています。
したがって、災害が起きてからハザードマップを調べるのではなく、事前にハザードマップを確認し、必要な対策を立てておくのが重要です。また、災害発生時にどの避難所に避難するのか、どういった経路で避難するのかもご家族で話し合っておくのがオススメです。災害が発生してしまうと、連絡が取りにくくなってしまいますので、あらかじめ家族が集まる避難所を決めておくと安心です。
現在住んでいる地域のハザードマップは以下のサイトで調べてみましょう。
家庭の停電対策とて家庭用蓄電池が注目!
ここまでは、自然災害などによって引き起こされる停電の備えをご紹介してきました。災害による停電はいつ発生するか分かりませんので、普段からの備えが非常に重要になるのです。
このような状況の中、家庭の停電対策として蓄電池への注目度がどんどん高くなっています。ここでは、近年注目度が高くなっている家庭用蓄電池について簡単にご紹介しておきましょう。
家庭用蓄電池とは
家庭用蓄電池とは、その名称からも分かるように「電気を蓄えておくことができる設備」です。上述したモバイルバッテリーやポータブル蓄電池も、ある程度の電気を蓄えておくことができるのですが、これらとは比較にならないほど多くの電気を備蓄でき、停電が発生した場合でもさまざまな家電を使用できるようになる設備となります。
この蓄電池は、もともと大量の電気を消費する工場などの大規模施設で活躍していたのですが、東日本大震災を契機に、一般家庭での非常用電源確保の重要性が注目され、年々その人気が高くなっているのです。ただし、普及し始めてからまだ10年程度しか経過していませんので、まだまだ決して安いとは言えない住宅設備なのが玉に瑕です。ここ数年は、日本政府でも家庭用蓄電池の普及に力を入れ始めていますので、補助金などが充実してきています。
家庭用蓄電池があれば、万一停電が発生したとしても、冷蔵庫や照明、テレビや空調機器などへの電力供給ができるようになるため、家族の安全を守ることができるのです。ちなみに、大容量タイプの物であれば、1~3日間程度家電を動かすことが可能と言われていますが、太陽光発電を導入していれば、昼間に余剰電力で充電し、夜間は蓄電池から電気を供給するという体制が作れるため、災害下でも普段と同じような生活を確保することが可能です。
家庭用蓄電池は電気代削減効果も!
家庭用蓄電池は、停電時の非常用電源確保のために注目された設備です。しかし、近年では、蓄電池を賢く利用して生活にかかる電気代削減も可能だと人気になっているのです。例えば、太陽光発電との連携の場合、昼間の余剰電力で充電し、夜間は蓄電池の電気を使用するという体制を整えれば、電力会社から電気を購入しなくても良くなりますし、極端に言えば「生活にかかる電気代を0円にする!」ということも目指せるのです。特に、住宅用太陽光発電は、固定価格買取制度(FIT)の期限が10年間に設定されており、設置から10年を経過すれば売電価格が急落してしまう…ということが問題視されています。実は、FITが期間満了で終了してしまった場合、大手電力会社による買取価格は平均8円程度まで下落してしまうことになり、買電価格よりも圧倒的に安くなるのです。そのため、卒FITを迎えれば、売電するのではなく、発電した電気を自家消費して、購入する電気量を削減する方がお得になると言われているわけです。この体制を作るには、家庭用蓄電池が必要不可欠になるのです。
もちろん、家庭用蓄電池の導入には100万円以上のコストがかかるのが一般的ですので、導入を検討した場合にはしっかりと料金シミュレーションをしなければいけませんよ!しかし、災害対策として「安全を買う!」と考えれば、特に高くはないのかな…というのが筆者の考えです。
まとめ
今回は、自然災害によって引き起こされる停電について、普段から行っておきたい停電の備えについてご紹介してきました。この記事でもご紹介しましたが、日本は地震や台風などの自然災害が非常に多い国として有名で、さらに近年ではこれに加えてゲリラ豪雨や集中豪雨による水害も増加しているのです。
こういった自然災害では、水道やガス、電気などのライフラインがストップしてしまうことも珍しくありませんので、いつ発生するか分からない災害に備えておくことは非常に重要です。特に近年では、停電が長期間にわたる…ということも増えていますし、そうなった場合にどのようにして家族を守るのかは事前に検討しておくべきです。家庭用蓄電池や太陽光発電などは、導入にかなりのコストがかかるものの、普段の光熱費削減に役立つだけでなく、災害時も家族の生活を守ってくれる非常に有用な設備として注目されるようになっています。
災害が多い日本では、どれだけ住みやすい住宅を作るのか?ということだけでなく、家族の安全を守るためにはどうすれば良いのか?を家を建てる段階から考えておくのがオススメです。