さまざまな住宅被害をもたらす台風。事前の台風対策も重要ですが、台風後の点検も忘れてはいけない!

こんにちは、住まいのアドバイザーむとうの家です。今回は、日本国内に住む限りは避けては通ることができない住宅の『台風対策』についてご紹介していきたいと思います。日本は、毎年9月から10月頃にかけて、複数の台風が上陸する国となりますので、台風による強風と大雨でさまざまな住宅被害が生じてしまう危険があります。特に近年では、地球温暖化などの影響もあり、日本に上陸する台風の大型化が進んでいると言われています。実際に、2018年に関西地方に上陸した台風21号では、関西国際空港が浸水してしまうなど、非常に甚大な被害が出てしまったのは皆さんの記憶にも新しいことでしょう。

さらに、ここ数日のテレビのニュースでは、史上最大クラスの台風10号が日本に近づいているとの報道があるため、台風への備えを急いでいるという方が非常に多いと思います。台風10号の進路予測を見てみると、むとうの家がある関西地方にはそこまで大きな影響がないのかな…とも思えますが、今後どういった進路を取るのかはまだわかりませんので、万全な準備をしておきましょう。また、台風10号の後も、いつ台風が発生するか分かりませんし、しばらくは天気予報の確認は怠らないようにしておきましょう。

こういった台風対策に関しては、テレビやネットの情報で見る限り「台風が襲来するまでの対策」が重要視されています。もちろん、大切なご家族を守るためには、事前に万全な準備をしておくのが非常に重要です。しかし、住宅を長く維持することを考えた場合『台風の後の被害確認』のことも忘れてはならないのです。台風は、猛烈な強風と大雨を伴う自然災害となりますので、一見何の問題もなさそうに見えて、目に見えない部分で問題が生じている…なんてことも少なく無いのです。
そこでこの記事では、これから迎える本格的な台風シーズンを乗り越えるため、台風前に行いたい住宅のチェックと、台風が過ぎ去った後に確認しておきたい住宅のポイントをご紹介します。

台風前はどこをチェックしておけば良いのか?

それではまず、台風の前に行っておきたい事前準備からご紹介していきましょう。日本は、地震や台風などの自然災害が非常に多い国として有名ですが、「いつ・どこで」発生するのか誰にも分からない地震とは異なり、台風は発生した時点からその規模や進路予測などが詳細に発表され続けます。したがって、自分が住んでいる地域に台風が上陸するとなれば、どの程度の被害が出そうなのか…ということが予め確認でき、事前に準備することが可能なのです。

そもそも日本は、毎年必ず複数の台風が上陸する国となりますので、住宅自体もちょっとやそっとの強風で大きな被害が生じてしまうことが無いよう、頑丈な作りになっています。例えば、住宅屋根に使用される屋根材についても、年々その性能が向上しており、万全な状態であれば最大風速65m/sというような猛烈な強風にも耐えられるような設計がなされているのです。
しかしこのような状況に関わらず、毎年台風シーズンに入ると、非常に多くの住宅で強風による被害が生じてしまっています。実は、『万全な状態であれば』と上述したように、台風によって大きな被害が生じてしまうのは、多くの場合普段の住宅メンテナンスを怠ってしまっており、既に劣化が進行した状態で台風による強風や大雨を受けているからなのです。つまり、毎年やってくる台風で、大きな住宅被害が生じさせないようにするためには、台風シーズンに入る前などに、きちんと住宅の点検を行い、悪い部分があるのであれば、しっかりと補修しておく必要があるのです。ここではまず、台風による住宅被害を防ぐため、最低限行っておきたい住宅の事前準備をご紹介しておきます。

台風の前にここをチェックしよう!

台風は、猛烈な強風に大雨が伴う自然災害です。そのため、台風の影響で外壁や屋根が破損してしまった場合、住宅内に雨水が侵入してしまうことになるなど、雨漏りに直結する被害が生じてしまうのです。住宅の雨漏りは、天井から水が落ちてきて生活がしにくくなる…などが問題視されますが、本当に恐ろしいのは破損個所とは関係ない場所にまで水が回り、住宅内のさまざまな木材を腐食させてしまう恐れがある点なのです。こうなってしまうと、住宅の強度が落ちてしまい倒壊リスクが高くなってしまいますし、住宅の天敵であるシロアリの繁殖を招いてしまう恐れまであるのです。
以下に台風までにチェックしておきたい住宅のポイントをご紹介しておきますので、ぜひ頭に入れておきましょう。

  • スレートや金属屋根の場合
    スレート屋根や金属屋根の場合、屋根の頂上部分に棟板金が設置されています。棟板金は、釘やコーキングなどでしっかりと固定されているのですが、経年劣化で徐々に釘が緩んでしまい、板金が浮いてしまう…などといった劣化が生じます。板金が浮いてしまうと、隙間ができてしまいますので、そこに台風の強風が当たり、一気に板金が飛ばされてしまう…という被害が考えられます。また、スレート屋根の場合は、表面の屋根塗装の劣化を放置してしまうと、屋根材が反り返ってしまうようになります。そこに強風が当たれば、屋根材が飛ばされてしまう…という被害が出るのです。一般の人ではなかなか確認しにくい場所ですが、被害が出てしまう前にきちんと確認して問題があれば補修しておきましょう。
  • 瓦屋根の場合
    瓦屋根は重量があるから台風には強いと考えている方がいます。しかしこの考えは大間違いです。台風の強風は数トン以上ある自動車を横転させてしまうようなパワーがありますので、瓦の重さなどあってないよなものです。したがって、瓦屋根もしっかりと台風の準備をしなければならないのです。瓦屋根のチェックポイントは、屋根に施工されている漆喰にひび割れや脱落が起きていないかまず確認しましょう。他にも、瓦が割れている箇所はないか、ズレている箇所は無いかしっかりと確認しておきましょう。築年数の古い瓦屋根の場合、屋根土の上に瓦を並べて噛み合わせて固定力を得ているといった施工方法がとられていることが多いです。この場合、小さなズレが生じることで、一気に固定が緩んでしまい、強風で大きな被害が生じてしまう…ということが多いので特に注意が必要です。瓦屋根の小さなズレは、一般の人では気づきにくい部分ですので、可能であれば専門業者に確認してもらい、必要であればラバー工法などで固定してもらっておくのがオススメです。
  • 外壁のチェック
    台風は、強風を伴う大雨ですので、通常の雨とは異なり横殴りの雨が住宅を襲います。つまり、普段は軒先などに守られている外壁も直接雨が降り注ぐことになりますので、外壁から雨水が侵入してしまう…といった被害が生じてしまうことがあるのです。特に注意が必要なのは、サイディングの目地に施工されているコーキング材が劣化していないか?というポイントです。外壁自体に亀裂や塗装の劣化が無い場合でも、コーキングがひび割れや痩せをおこしていたのであれば、外壁に隙間が生じてしまうことになり、雨水の侵入を許してしまうのです。したがって、住宅の周囲を回ってみて外壁の状態をしっかりとチェックしておきましょう。
  • ドアや窓周りのチェック
    住宅のドアや窓周りが原因となる台風被害は意外と少なくありません。住宅にはドアや窓が必要不可欠なのですが、これを設置する際にはサッシ周りに隙間が生じます。そしてその隙間を埋めるためにコーキングを施工するのですが、コーキングが劣化してしまうと雨水の侵入口になるのです。外壁の状態を確認するのに合わせて、ドアや窓周りのコーキングの状態もしっかりと確認しておきましょう。

台風に備えるためには、シーズンに入る前の夏場に上記のような点を点検し、問題があれば補修しておくのがとても大切です。上述したように、日本の住宅は、諸外国と比較しても災害への耐久力をしっかりと考えて建てられるものです。しかし、築年数が経過すれば、徐々に劣化してしまいますので、本来の耐久力を発揮するためには、メンテナンスが欠かせないのです。
なお、台風直前には、家の周囲に置いてある強風に飛ばされそうなものを屋内に入れるようにする、窓が割れないようにテープなどで補強するといった対策も行っておきましょう。こういった台風直前の準備については、別記事でまとめていますので、そちらもご覧ください。

関連記事:一戸建ての台風対策!強風で住宅被害を出さないためにはどうすれば良い?

台風後の状況確認が非常に重要!

それでは次に、多くの方が見落としてしまいがちな、台風が過ぎ去った後にチェックしておきたいポイントについてです。台風の後には、屋根材が吹き飛ばされてしまった…窓ガラスが割れてしまった…、外壁が破損した…など、目に見える被害が生じてしまえば、即座に修理業者に連絡すると思います。しかし、このような被害が出ていない場合、皆さんはどう思いますか?ほとんどの方は「自宅に被害がでなくて良かった。」などと、目に見える部分に破損が無ければ、そのまま日常生活に戻ってしまっているのではないでしょうか?
しかし、実はこういった台風後の『安心』が今後のことを考えると非常に危険なポイントとなってしまうのです。台風による強風と大雨というものは、目に見える大きな被害を生じさせるのはもちろん、目に見えない部分に影響を出していることも少なく無いのです。そのため、そういった被害に気付けずにいた場合、しばらくしてから突然雨漏りが始まり、業者に連絡した時にはいろいろな箇所に劣化が広がって、建物の建て替えリフォームが必要になってしまう…など、考えられないような被害につながってしまう場合があるのです。
皆さんに覚えておいてほしいのは、台風や地震などの災害が発生した場合には、目に見える被害が生じていなかった場合でも、念のため専門業者に点検をしてもらうのがオススメということです。住宅の劣化は、早期発見・早期修理が鉄則ですので、住宅の寿命を延ばすためにも、「被害がでなくて良かった」と考えるのではなく「見えない場所に何か被害が出ていないか?」と考えるようにしましょう。

台風の後はここをチェックしよう!

それでは、台風が過ぎ去った後にチェックしておきたいポイントをご紹介していきたいと思います。猛烈な強風を伴う台風は、一見何の問題も生じていないように見えても、小さな問題を生じさせてしまっているということが非常に多いのです。こういった小さな劣化に気付けずにいると、徐々に劣化が拡大し、気付いたときには手遅れになっている…なんてことも珍しくありません。
台風直後は、専門業者の予約がなかなか取れない場合もありますので、1,2か月経過して、ある程度状況が落ち着いてから連絡してみると良いでしょう。

  • 屋根の劣化状況を確認
    台風による強風は屋根にさまざまな被害をもたらせます。したがって、慎重に屋根の状況を確認すべきです。例えば、漆喰の一部が脱落しかけている…屋根材に亀裂が入っている…などと言った小さな被害も、放置すれば雨漏りにつながりますので、確認しておくのがオススメです。屋根の上の問題ですので、自分で確認するのが難しい場合は、専門業者に連絡し点検してもらいましょう。
  • バルコニー・ベランダを確認
    ベランダやバルコニーがある住宅では、ひとまず下から状況を確認してみましょう。例えば、排水口以外の部分から水滴が落ちてくる…なんて場合、内部に水が浸入している可能性があり、雨漏りにつながります。ベランダやバルコニーは、住宅から突き出てしまっていますので、横殴りの雨が降る台風による被害が非常に多い部分と言えるのです。小さな劣化でも念のため、点検してもらうのがオススメです。
  • 外壁の劣化状況を確認
    台風の後は外壁の状態確認も大切です。強風に煽られてさまざまなものが飛来し、外壁に衝突してしまっている…なんてことがありますので、小さな亀裂や塗装剥がれをおこしてしまっている…ということが考えられます。特に金属サイディングを採用している住宅では、小さな傷を放置してしまうことから、外壁にサビが広がる…なんて被害が考えられますので、家を一周して慎重に被害状況を確認してください。小さな傷があった場合には、念のため専門業者に点検してもらうのがオススメです。
  • 雨樋の劣化状況を確認
    多くの方が点検を見落としてしまうのが『雨樋』です。強風で雨樋が外れている…なんて状況であれば、すぐに修理を依頼できるのですが、小さな劣化はほとんどの場合放置されてしまうのが雨樋なのです。台風の後には、雨樋の上にゴミがたくさん落ちてしまい、詰まってしまう…なんて被害が考えられます。他にも、雨樋が外れはしないものの、支持金具が歪んでしまい、傾斜がズレてしまうという被害が生じる場合も少なくありません。雨樋は、屋根に落ちた雨水を適切に排水するために設置されていますので、こういった被害が出てしまった場合、排水が上手くいかず雨漏りにつながる…なんて危険があるのです。傾斜のズレなどは、一般の方では判断しにくいものですので、専門業者に点検してもらうのがオススメです。
  • 室内の湿気を確認
    最後は、建物内で劣化に気付くためのポイントです。目に見えない劣化から雨漏りが発生している場合、修理が遅れてしまい、雨漏り修理では対応することができない…なんて状況になることがあります。したがって、普段から建物内の湿気に注意を払っておくと良いでしょう。例えば、特定の部屋だけ湿気が高いように感じる…かび臭い…なんて症状があれば、高確率で雨漏りが発生しています。このような時には、すぐに専門業者に点検してもらうようにしましょう。

上記のように、台風が過ぎ去った後には目に見える被害が無い場合でも、実が劣化が進行している…なんてことは少なく無いのです。特に、災害の規模が大きければ大きいほど、目に見えない被害の確率も高くなりますので、台風が過ぎ去った後は安心するのではなく、念のためにプロによる点検を受けておくのがオススメです。

まとめ

今回は、これから続々と上陸すると考えられる台風について、皆さんがおさえておきたい台風前の住宅チェックポイントと、台風が過ぎ去った後の被害確認についてご紹介してきました。テレビの報道などでも、大型台風であれば、上陸するまでに何度も注意喚起をしてくれるものなのですが、台風が過ぎ去れば大きな被害の報道しか行わなくなってしまいます。そのため、一般住宅で目に見える被害が生じていない場合には「自分の家は何の被害もなくて安心した!」となってしまう訳です。

しかし、この記事でもご紹介したように、台風や地震などの自然災害では、目に見えない位置に問題が生じてしまい、住人が気付かないうちに徐々に劣化が進行してしまう…なんて被害も非常に多いのです。こういった被害の恐ろしいところは、気付いたときには手の施しようがないほど劣化が進行してしまい、修理ではなく建て替えが必要になってしまった…など、莫大なリフォーム費用が掛かってしまうこともある点です。

住宅を長持ちさせるためには、問題の早期発見・早期修理が非常に重要になりますので、災害が過ぎ去った後に目に見える被害が無い場合でも、念のため専門業者の点検を受けるようにするのがオススメです。