今回は、戸建て住宅の夏の暑さ対策第三弾として、最近メディアなどでも良く取り上げられるようになってきた『サーキュレーター』と呼ばれる家電がどういったものなのか、また、室内の暑さを取り除くためにはどのように使えば良いのかについて解説していきたいと思います。以前ご紹介した、戸建て住宅の暑さ対策をまだ見ていない方は、ぜひそちらの記事も見ていただければと思います。というのも、つい先日、大手検索サイトのニュースで「今年の夏は猛暑」と紹介されていましたので、今から夏の準備を進めておいた方が良いでしょう!
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この時期になれば、家電量販店などでも非常に目立つ位置に置かれるようになるのが『サーキュレーター』と呼ばれる製品です。見た目だけで言えば、コンパクトな扇風機のようにも見えるのですが、それにしては「名前が違うし、首がない分使いにくそう…」なんて考えてしまう方が多いのではないでようか?
このサーキュレーターに関しては、普通に扇風機として利用している方もいるのですが、実は扇風機とは用途が異なる家電製品で、正確には「部屋の空気を循環させる」ことが目的です。使用用途を聞くと、「暑さ対策に関係なさそう…」と思ってしまうかもしれませんが、サーキュレーターを利用すれば、エアコンが効率的に利用できますし、快適な住空間になる上に電気代まで削減できると言われる非常に優れた製品なのです。つい先日も、朝のニュース番組で特集されていましたし、「今年はサーキュレーターを買ってみようかな…」とお考えの方は多いと思います。
そこでこの記事で、サーキュレーターの正しい使い方や、実際に購入する場合の選び方などを簡単にご紹介していきたいと思います。ちなみに、サーキュレーターは、夏の暑さ対策だけでなく、冬にも活用できる製品ですので、この記事は必見ですよ!
そもそも『サーキュレーター』って何?
それではまず、「そもそもサーキュレータって何?」という基礎知識からご紹介していきましょう。冒頭でご紹介したように、それなりに有名な家電になっているサーキュレーターですが、今でも扇風機として利用している方がいるなど、何のための製品なのかという部分を勘違いしている方も少なくありません。
まず、サーキュレーターという製品名についてですが、これは英語の「circulate(循環させる)」が語源になっています。というのも、サーキュレーターの使用目的が「空気を循環させ、流れを作ること」だからです。
例えば、夏場に冷房をつけているのに、なかなか部屋の中が涼しくならない…なんて経験はありませんか?冬場でも、暖房をつけているのに、部屋全体が暖まらない…なんてことも普通にありますよね。実はこの状態というのは、エアコンなどが故障しているのではなく、部屋の中の空気に温度差が生まれてしまっており、人が「涼しくない…」「暖かくならない…」と感じてしまっているのです。
サーキューレーターは、こういった状態を解決するために生まれた家電製品で、風を送って空気を循環させることで、部屋中に涼しい(暖かい)空気を行き渡らせ、部屋の中の温度ムラを無くし快適な環境を作るためのものなのです。以下で簡単にですが、サーキュレーターのメリットとデメリットもご紹介しておきます。
『サーキュレーター』のメリット
まずはサーキュレーターのメリットです。夏場の暑さを解消するためには、エアコンを利用するというのが一般的ですね。それでは、エアコンのみで温度調節する場合と、サーキュレーターを利用するのでは何が違うのでしょうか?
- 室内の温度差を無くし、どこにいても快適にしてくれる
上述したように、サーキュレータは風を送ることで空気の流れを作りだし、効率的に空気を循環させます。扇風機も一緒と思うかもしれませんが、扇風機は人が直接当たって快適と感じるように、弱めの風を拡散しながら生み出すように設計されているのですが、サーキュレーターは、直進方向に強い風を送り空気を循環させるようになっているのです。そのため、エアコンをつけて正しくサーキュレーターを使えば、部屋のどこにいてもエアコンの風が行き渡り、快適な環境で生活することができるようになります。 - エアコンの電気代を削減
サーキュレーターを利用する最大のメリットは、エアコンにかかる電気代を節約することができる点です。自宅にサーキュレーターを導入する方のほとんどは、これが目当てだと思います。電気代が下がる仕組みは、部屋中の温度差を均一にすることで、エアコンの運転効率が上がり、その結果として消費電力がおさえられるからなのだそうです。これからの季節、これは非常に大きなメリットですね!
『サーキュレーター』のデメリット
次に、サーキュレーターを利用する場合のデメリット面も簡単にご紹介しておきましょう。
- 適切に使用しないと、電気代が高くなる
このポイントは注意してください。サーキュレーターは、適切な置き方をしてうまく空気が循環するようにしないと、逆効果になってしまい、本来のメリットが得られなくなるどころか、損をしてしまう危険があるのです。サーキュレーターの置き方を間違って、部屋の温度差が解消されないままになってしまうと、室内の温度を設定された温度にするため、エアコンがフルパワーで稼働してしまうことになります。そうなると、無駄な電力を消費してしまい「省エネのために買ったのに、電気代が高くなった…」なんて最悪のパターンになってしまう恐れがあります。 - 音が気になる場合がある
サーキュレーターは、扇風機と比較しても強い風力があるため、動作音が気になってしまう…、うるさく感じてしまう…という指摘があります。最近では、静音タイプのサーキュレーターが登場していますので、どうせ購入するのであれば、そういったものがオススメです。
最適なサーキュレーターの置き方とは?
それでは、実際にサーキュレーターを使いたいと考えている方が知っておくべき『置き方』についてご紹介していきましょう。上述したように、エアコンと一緒にサーキュレーターを使用する場合、間違った置き方をしてしまうと、余計な電力を消費してしまうことになり、電気代が高くなってしまうことがあるのです。ここでは、エアコンの風を部屋全体に行き渡らせるためのサーキュレーターの置き方・使い方をご紹介しておきます。
なお、ここでは夏の暑さ対策としてのサーキュレーターの使い方だけでなく、冬場の置き方についてご紹介しておきます!
夏の暑さ対策!冷房効率を高めるサーキュレーターの置き方
夏場の暑さ対策として、冷房と一緒にサーキュレーターを使用する場合、「冷たい空気は下に行く」という性質を利用しなければいけません。
- エアコンに向けて置く
一つ目の置き方として、「エアコンの対角線上にサーキュレーターを置き、吹き出し口に向けて送風する。」というものがあります。これは、エアコンから出てくる冷風を拡散させ、部屋全体に行き渡らせる方法となります。 - エアコンと逆向きに置く
次は「エアコンから少し離れた位置に、エアコンに背を向けてサーキュレーターを置き、送風する」という置き方です。この方法は、床辺りに溜まってしまいがちな冷たい空気に風を送り、壁を伝って天井近くまで行き渡らせる方法となります。
他社さんのサイトですが、分かりやすいイラストがありましたので、言葉だけではわかりにくい…という場合は以下のサイトを見てみましょう。
冬の寒さ対策としてサーキュレーターを利用したい場合
「サーキュレーター=扇風機」と考えている人であれば、冬に利用するような家電ではない…と考えてしまうかもですね。しかし、サーキュレーターは室内の空気を循環させるものですので、冬に利用しても構わないのです。そして、上手に活用すれば暖房効率も良くなります。暖房とサーキュレーターを一緒に利用する場合は、「暖かい空気は上に行く」という性質を利用します。
サーキュレーターの置き方は以下のような感じです。
- エアコンに向けて置く
一つ目の置き方は冷房と同じく、「エアコンの対角線上にサーキュレーターを置き、吹き出し口に向けて送風する。」というものです。これは、エアコンから出てくる暖かい風を拡散させ、部屋全体に行き渡らせる方法ですので、冷房でも暖房でも有効です。 - 天井に向けて置く
次は「エアコンから少し離れた位置に、真上に送風するように、天井に向けてサーキュレーターを置く」という方法です。これによって、天井付近に溜まってしまいがちな暖かい空気を、部屋全体に行き渡らせることができます。
サーキュレーターを購入する時のポイント
それでは最後に、サーキュレーターを購入する場合に、どの製品を選択すれば良いのか分からない…という方が参考にしてほしいいくつかのポイントをご紹介していきたいと思います。最近では、家電量販店ではなくても、ホームセンターや日用雑貨店、ネット通販などでも手軽に手に入るようになっているのですが、たくさんの種類が存在していることで「どれを選べば良いの?」と迷ってしまう方が多いようです。
ここでは、サーキュレーター購入時の基準をいくつかご紹介しておきますので、参考にしてみてください。
ポイント① 風力の強さ
サーキュレーターで大切なのは『風力の強さ』です。上述しているように、サーキュレーターは、人が直接風にあたって涼むというものではなく、空気を循環させるものですので、それに足りる最低限の風力が必要になるのです。
サーキュレーター選びをする際には、「適応床面積」あるいは「対応畳数」などから、使いたいと思っている部屋の広さに合うかどうかを判断しましょう。注意が必要なのは、ロフトや吹き抜けなどがある部屋で使いたい場合は、実際の部屋の広さよりも適応床面積が大きいもので、風力が強いものを購入するということです。それ以外は、使いたい部屋の広さと対応床面積が同じぐらいのものを選びましょう。
ポイント② 音の静かさ
サーキュレーターは、風力の強い風を産み出して空気を循環させるものですので、羽根の回る音がそれなりの大きさになってしまいます。慣れてしまえば、「うるさい…」と感じるような音でもないのですが、寝室などで使用する場合には、できるだけ音が静かな方が良いですよね。
音が静かなサーキュレーターを望む方であれば、「静音機能」や「風量調節機能」があるタイプを選びましょう。また、「どの程度の音が出る物なの?」と気になるのであれば、家電量販店などに足を運んで、音を聞いてみたうえで購入するのがオススメです。
ポイント③ 長く使うなら掃除ができるタイプを!
最近では非常に安価なサーキュレーターが登場しているのですが、そういったタイプは空気循環に特化しているため、カバーを外して定期的に中身を掃除する…なんてことができないようになっています。つまり、一度購入すれば、羽が回らなくなるまで「掃除ができない…」ということです。
「別にそれでもかまわない…」と考える人もいるのですが、サーキュレーターも掃除をしなければ、内部にホコリが溜まってしまい、羽根の動きが悪くなったり、モーターが故障しやすくなるなどのデメリットがあるのです。せっかく購入するのですし「できるだけ長持ちさせたい!」とお考えなら、カバーが取り外せて掃除できるタイプを購入するのがオススメです。
ポイント④ モーターの違いを抑えておこう
近年では、それなりに知名度が高くなってきていますので、たくさんの種類のサーキュレーターが販売されるようになっています。価格帯もさまざまで、消費者からすれば選択肢が多くて嬉しいと思われがちですが、逆に選択肢が多すぎて「どれが良いのか分からない…」なんて状態になっているのです。
「どれを選べば良いの…」と困っている方にお勧めの選び方で「モーターに注目する」と言う方法があります。実は、サーキュレーターはモーターの違いで、製品の特長がある程度把握できますので、それぞれのモーターの特長を以下でご紹介しておきます。
- DC(直流)モーターのサーキュレーター
こちらのタイプは、豊富な機能で、消費電力が少ないのが特徴です。最近では、デザイン性も豊富になっており、部屋の雰囲気に合わせて選ぶなんてことも可能です。ただし、高機能な分、価格が高くなってしまうのが欠点です。 - AC(交流)モーターのサーキュレーター
こちらは、価格が安いということが特徴です。消費電力量はDCモーターのものよりも大きいのですが、初期コストが安いため「とりあえずサーキュレーターがどんなものか試してみたい!」なんて方がサクッと購入するのにオススメです。
まとめ
今回は、戸建て住宅の暑さ対策第三弾として、正しいサーキュレーターの使い方や購入する時におさえておきたいポイントをご紹介してきました。
サーキュレーターは、この時期になると家電量販店やホームセンターなどに行くと、非常に目立つ位置に置かれるようになってきた人気家電と言えるのですが、意外にも使用用途自体を勘違いしてしまっている方もいるのです。実際に、サーキュレーターを小型の扇風機として利用しているという方も多いのではないでしょうか?もちろん、風を生み出す装置ですし、扇風機として使用してはいけないわけでもないのですが、上手に活用すれば、扇風機などとは比較にならないほど快適な住空間を作ってくれる製品なのです。
これから、どんどん気温が高くなっていきますし、エアコンのお世話になる季節がやってきますので、この記事でご紹介した内容は、ぜひ頭に入れておきましょう!