屋上利用ができると人気の『陸屋根』!雨漏りさせないための防水メンテナンスは忘れてはいけない!

近年の新築業界では『陸屋根』と呼ばれるフラットな形状の屋根が人気です。住宅の屋根と言えば、三角形の見た目をした切妻屋根などが古くから利用されていましたが、庭付きの戸建て住宅が減少したことで、屋根部分をさまざまなことの活用できる陸屋根の人気が急上昇しているのです。

実際に、建売住宅の見学などに行ってみると、キューブ状のスタイリッシュな見た目をした建物が並んでいる場合が多いと思った事はありませんか?住宅の屋根として『陸屋根』を採用すれば、庭がない住宅でも、子供を遊ばせるスペースや洗濯物を干すスペース、屋上バーベキューのためになど、日常生活を豊かにしてくれる非常に高い利便性があると言われています。最近では、ペットを飼うご家庭が増えていることもあり、屋上部分を簡易のドッグランとして活用するような方もいるそうです。

このように、他の屋根形状にはなり利便性の高さが魅力になりますので、ここ最近の陸屋根の人気の高さは理解できるものだと思います。しかし、何も考えずに陸屋根を採用してしまうと、困ってしまう状況に追い込まれる可能性もあるのです。そこでこの記事では、陸屋根を採用することで得られるメリットや、絶対に忘れてはいけない屋上防水メンテナンスについて解説したいと思います。

陸屋根を採用するメリット

陸屋根は、他の屋根とは異なり、屋根面の勾配がほとんどない水平な屋根形状の事を指しています。通常、屋根というものはある程度の勾配が付いていて、雨などを即座に排水することができるようになっています。しかし、陸屋根の場合は、長時間雨水が留まってしまうことになるので屋上部分の防水工事が非常に重要になります。

それでは、他の屋根とは異なり、傾斜のない屋根形状にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここではまず、陸屋根を採用することのメリットからご紹介します。

洋風建築のようなスタイリッシュな外観

新築業界で陸屋根の人気が高くなっているのは、フラットな屋根形状となるため、洋風建築のようなスタイリッシュな外観デザインを実現できるというのが大きなポイントです。憧れのマイホームですから、できるだけスタイリッシュな見た目を求めるという方が多く、高いデザイン性を実現できる陸屋根がベストマッチなのです。最近の新築業界では、陸屋根や片流れ屋根など、シンプルでスタイリッシュな見た目が人気です。

屋上スペースを活用できる

土地の高騰により、都市部では庭付き一戸建てを購入するのはなかなか難しいものです。したがって、隣家との距離も非常に近く、3階建ての戸建て住宅が増加しているわけです。しかし、小さなお子様がいるご家庭であれば、太陽の下で安全に遊ばせる場所が欲しいと考えてしまうことでしょう。そのような方には、屋上を遊ばせるスペースとして活用できる陸屋根が人気なのです。
他にも、洗濯物を干すスペースや屋上バーベキューをするスペースなど、さまざまな用途に活用できますので、都会の戸建て住宅では特に陸屋根を選択する方が多いです。

屋根メンテナンスが容易になる

どのような屋根形状を選んだとしても、定期的な点検とメンテナンスを欠かすことができません。一般的な傾斜のある屋根の場合、メンテナンスのために足場を組まなければいけませんが、屋根面が水平な陸屋根の場合は、そのまま人が屋根にのることができ、足場を組み立てる必要がないという点が大きなメリットです。
したがって、住宅メンテナンスの中でも高額な部類に入る屋根の各種メンテナンスが、足場代の分、安く抑えることができるようになります。

最上階に広いスペースを確保できる

陸屋根は、通常の三角屋根と比較すれば、最上階の部屋に関して、広いスペースを確保できるというメリットがあります。つまり、建物全体としての体積が大きくなるということですので、三角屋根の建物よりも多くの面積が活用できるわけです。

陸屋根を採用するデメリット

上記のように、さまざまなメリットがあることで人気となっている陸屋根ですが、導入するのであれば、知っておきたいデメリット面もいくつか存在します。ここでは、陸屋根を採用した場合の注意点も簡単にご紹介しておきます。

雨漏りリスクが高い

陸屋根最大のデメリットと言われるのは、屋根面がフラットになってしまうため、雨水が長時間とどまってしまうようになることで、通常の三角屋根よりも雨漏りリスクが高くなってしまう…ということです。もちろん、完全にフラットな訳ではなく、多少の勾配はついているのですが、水はけどうしても悪くなってしまいます。

陸屋根は、屋根面からの雨漏り防止のため、防水処理が施されているのですが、常に紫外線にさらされている…雨水の影響を長時間受ける…などと言った理由で、防水処理の劣化が非常に速いと考えなければいけません。したがって、適切なタイミングで必要なメンテナンスを行わなかった場合、意外に簡単に雨漏りしてしまうと考えておいた方が良いです。

最上階の部屋が暑くなる

三角屋根と比較すれば、陸屋根を採用した建物の方が屋上や最上階に熱がこもりやすいという構造をしています。そのため、夏場などは最上階の部屋はエアコンをつけていても暑さを感じてしまう…などという意見も多いです。実際に、賃貸物件などでも、最上階の部屋は「暑さが気になる…」と考えて敬遠していたという人も多いのではないでしょうか?

陸屋根を採用する場合には、屋上断熱を入念に行うことや、表面塗装に断熱塗料を採用する、屋上緑化を試みるなどの暑さ対策が必要になると考えましょう。

屋根裏を作れない

三角屋根であれば、屋根裏を収納や子供部屋に利用するなんてことができます。しかし、陸屋根の場合は、建物の室内の広さを確保できる反面、屋根裏部屋を作る事ができないと言う点がデメリットです。

建物の広さの関係で、屋根裏収納がどうしても必要…という場合には、陸屋根は採用しない方が良いと思います。収納やロフトなどは必要ないというのであれば。陸屋根を採用しても問題ないでしょう。

積雪に弱い

大阪市内などであれば、冬場でもそこまで雪が降りませんので、大きなデメリットとは言えないかもしれません。しかし、陸屋根は積雪に弱いという事は知っておきましょう。

陸屋根の場合、積雪量が多くなれば、どんどん屋根に降り積もりますので、雪の重さが建物に大きな負担を与えてしまうことになります。築年数が経過してくれば、その雪の重みに耐えられず、屋根が抜けてしまう…なんてリスクも考えられます。したがって、雪が多い地域で陸屋根を採用する場合、あらかじめ融雪用の設備を用意しておく必要があります。

雨漏りさせないためには屋上防水が必要!

陸屋根を採用する場合、屋上部分の水はけが悪いということを常に認識しておく必要があります。そして、屋上部分からの雨漏りを防ぐためには、屋上の防水機能を常に万全な状態にしておく必要があるわけです。

ここでは、屋上部分の雨漏り防止のため、絶対に知っておきたい防水手法についてご紹介しておきます。屋上防水にもいくつかの工法が存在していますので、どの方法を採用するのか考えておきましょう。

アスファルト防水

まずはアスファルト防水と呼ばれる工法からです。これは、アスファルトを含ませた防水シートを使って防水層を作っていく工法になります。アスファルト防水は、防水性や密着性が高く、漏水防止には高い効果が期待できます。

注意が必要なのは、下で紹介する他の防水工法よりも重量が重くなってしまうため、木造の建造物にはあまり向いていないと言う点です。鉄筋コンクリート造の建物などであれば、アスファルト防水で構いません。

シート防水

次は、シート防水と呼ばれる工法です。これは、塩ビシートやゴムシートを屋根面に貼って防水層を作っていく工法です。シート防水のメリットは、施工費が安価なことや施工がしやすい事ですが、複雑な形状や屋上に障害物がある場合などは施工できません。
なお、耐久力はアスファルト防水などよりも低いため、メンテナンス頻度が高めだと考えておきましょう。

塗膜防水(ウレタン・FRP)

塗膜防水は、ウレタンやFRPなど、防水機能を持った塗料で防水層を作る工法です。塗膜防水は、液状の塗料を塗っていく工法ですので、屋根形状や屋根上の障害物などに関係なく施工できるのが大きなメリットになります。注意が必要なのは、ウレタンかFRP、どちらを採用するのかによって防水層の特徴が全く異なり、メンテナンス面の注意点が違ってしまうことです。
FRP防水は、軽量で仕上がりも美しいのですが、紫外線などでひび割れを起こしやすいという弱点があります。ウレタン防水は、施工に時間がかかる(乾燥が長いため)ものの、安価で伸縮性が高いということから、近年人気の工法となっています。

まとめ

今回は、新築業界の屋根形状として非常に高い人気を誇っている陸屋根についてご紹介してきました。近年では、土地面積の関係から、庭のない戸建住宅が増加しています。地方都市であれば、庭付き一戸建てを購入することも考えられますが、大阪市内などの都市部では、庭付きの物件になると、非常に高額になってしまうことから、庭付きを見かけることの方が少なくなっています。

陸屋根は、フラットな屋根形状となりますので、本来はデッドスペースとなってしまう屋根を有効活用することができるようになり、庭がない住宅でもお子様を遊ばせることができるため、人気になっているのだと考えられます。他にも、洗濯物を干したり、簡易のドッグランにしたりと、さまざまな活用方法が考えられますので都市部の住宅をでは非常にオススメの屋根形状だと言えるでしょう。
ただし、雨水が長時間とどまってしまうということから、雨漏りリスクが高い屋根形状だと言う点は忘れてはいけません。屋上防水のメンテナンスを怠ってしまうと、意外と簡単に雨漏りが発生してしまう恐れがあるため、定期的な点検は欠かさないようにしましょう。