現在、新築戸建て住宅の購入を検討中の方であれば、住宅ローンを利用して家の購入を考えているのではないでしょうか?新築戸建住宅の購入となると、数千万円を超えるお買い物になるため、現金一括で購入するのは非常に大きな負担になってしまいます。そのため、ほとんどの方が数十年の住宅ローンを組むことになります。住宅ローンは、自動車ローンなどと比較しても、かなり金利が低く設定されているのですが、借金することには違いありませんし、今後何十年も返済を続けなければならない…ということに不安を感じてしまう人も少なくありません。
しかし、こういった場合には、以下のようなセリフをよく耳にすることが多いです。
- 住宅ローンなんか家賃と同じようなものだ!
- 賃貸の家賃を払い続けるなら、住宅ローンの方が得じゃない!?
- 住宅ローンが終わったら、家賃がゼロになるから得じゃん!
新築一戸建ては、誰もが憧れるものですので、こういった前向きの意見を知人から言われて家の購入を決心したという人も少なくありません。しかし、こういった話は本当のことなのでしょうか?
この記事では、巷でよく言われている「住宅ローンは家賃みたいなもの!」という説について考えてみたいと思います!
「住宅ローンは家賃みたいなもの!」は本当?
それではまず、根本的な部分である『住宅ローンと家賃は本当に同じようなものなのか?』ということについて考えてみましょう。ここでは、住宅ローンと賃貸住宅の家賃の違いについて簡単にご紹介していきます。
『家賃』は一生払い続ける生活費
まずは、賃貸住宅の家賃からです。賃貸住宅は、物件の持ち主から部屋を借りるため『家賃』を支払わなければいけません。
この家賃に関しては、部屋を貸す大家さんに対する報酬であり、支払う側はお金を払った後に何も残りません。当然、その部屋を借り続ける限りは、一生支払っていかなければならない『生活費』のような物と考えればそこまで間違っていないと思います。
毎月家賃を支払っておけば、1カ月間は寝る場所が確保できるという意味から、掛け捨ての保険みたいなものとイメージしても良いと思います。
『住宅ローン』は上限がある家賃
一方で、『住宅ローン』はどうかというと、一生払い続ける物ではありません。住宅ローンを組むときには、返済期間を設定するのですが、最大でも35年間で支払いが完了し、繰り上げ返済などを選択すれば、支払期間を短くすることも可能です。
さらに、住宅ローンの支払いが終われば、建物と土地が財産としてあなたの手元に残りますので、上述した家賃とはこの部分にかなりの違いが存在します。保険で考えると、積立式の保険のような感じです。
これからも分かるように、そもそもの部分で住宅ローンと家賃はかなりの違いが存在します。
結局どっちが得なの?
住宅ローンと家賃の違いが分かったところで、皆さんが思い浮かべるのは「結局はどっちが得なの?」ということではないでしょうか?上述したそれぞれの違いを見ると、「家賃は何も残らない」「住宅ローンは建物と土地が残る」ですので、これだけなら住宅ローンの方が圧倒的に得なように感じるはずです。
住宅ローンは、支払いに期限がありますし、繰り上げ返済の余裕がある方であれば、毎月の支払額も調整可能になりますので、家賃と比較すれば「メリットばかりじゃないの?」と考えてしまうことでしょう。しかし、それは本当に正しいのでしょうか?
『住宅ローン』が負債だということを忘れてはいけない!
「住宅ローンなんか家賃と同じようなもの」という方は、上記のような住宅ローンのメリットばかりに注目しているのですが、絶対に忘れてはいけない事実として『住宅ローンは負債だ』と言う点です。ある本では、「家は財産ではなく負債だ」と紹介されたことがあるのですが、住宅ローンの負の側面から考えるとあながち間違った考え方ではないと思います。
住宅ローンにしても家賃にしても、毎月決まった金額を支払い続けることになるため、「住宅ローンと家賃は同じ」という考えに至ってしまう方がいるのですが、住宅ローンは家賃とは異なり、間違いなく借金であり利子も発生するのです。この時点で、『家は負債』といえますね。
さらに、当たり前のことですが、借りたお金というものは、必ず返さなければならなず、家の借金は数千万円単位のお金ですので、返済に対するプレッシャーは想像以上のもので、精神的な負債も抱えてしまうことになるのです。
こういった話をすると、「返済が厳しいなら家を売れば良い!」と考える方がいるのですが、その考えは少し甘いです。というのも、住宅というものは、一度人が住めばその価値が大幅に下落してしまいます。一説によると、人が住んだという事実だけで30~50%も家の価値が下落するとも言われており、購入して住み始めた時点で数百万円もの価値が落ちてしまっているのです。したがって、仕事の関係で収入が少なくなった…など、何らかの理由で家の売却を考えたとしても、多額の借金だけ残ってしまう…なんてことは珍しくないと考えておきましょう。
住宅ローンは、順調に返済できる場合には、財産を残せるというメリットがあるのですが、何か一つ踏み外してしまうと、上記のような負債を抱えてしまうことになるのです。
返済すれば、家賃ゼロってホント?
ここまでの説明で、住宅ローンには大きなメリットがある反面、見逃してはいけない注意点があると分かっていただけましたね。それでは次に、「住宅ローンが終われば家賃がゼロになる!」という部分についても解説してみましょう。
冒頭でご紹介したように、住宅ローンは数十年という返済期間を設定し、長い場合では35年間という返済期間になります。もちろん、35年の間きちんと支払い続ければ、住宅ローンが完済でき、その後のローンの支払いはなくなります。こう聞くと「家賃ゼロは間違いないじゃん。」と考えてしまいますよね。
しかし、家の購入はそこまで単純なものではないのです。
家にも寿命がある!
どのような物であっても、耐用年数と呼ばれる寿命が存在しています。そのため、一度購入すれば、一生それが使い続けられるというわけではないのです。さらに、欧米諸国の家は非常に頑丈で、築百年を超えても普通に使用できる物があるのですが、日本の家の耐用年数はそこまで長くないのです。一般的に、日本の家は、建ててから30年程度で寿命が来てしまうと言われています。
ここまで説明すれば、気付いた方も多いと思います。要は、最長期間の35年で住宅ローンを組んだ場合、ローンを支払い終えた時には、その家の寿命が尽きてしまっている…なんて場合も考えられるのです。したがって、住宅ローンが終わったと思えば、すぐに次の新しい家を購入しなければならない…立て替えなければならない…なんてこともあるのです。
他には、住宅というものは『消耗品』ですので、そこにあるだけで徐々に劣化が進行してしまいます。したがって、できるだけ長く同じ家に住みたいと考えるのであれば、定期的なメンテナンスが必要不可欠になります。例えば、どんな家でも10年に一度は、屋根や外壁の大規模メンテナンスが必要とされており、この修繕には100万円以上のお金がかかってしまいます。さらに。固定資産税も支払わなければならないため、ローンが終わったとしても、家賃がゼロになることはないのです。
まとめ
今回は、巷でよく言われる『住宅ローンと家賃は同じ』というセリフに関して、これが本当なのかについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、両者は根本的な違いがありますので、『住宅ローンと家賃は同じ』なんてことは考えない方が良いです。
住宅ローンで家を購入した際には、家の状態を保つためのメンテナンス費用なども掛かってくることを忘れてはいけません。また、住宅ローンが終わった時には、家の状態が悪くなっており、そのまま住み続けるのは難しい…なんてことも珍しくないのです。
もちろん、住宅ローンを使って家を購入するという選択であれば、自分のライフスタイルに最適な住まいを作る事ができるということや、土地などの財産が残るという非常に大きなメリットがあるのも確かです。したがって、家の購入前には「住宅ローンは家賃と同じようなもの」などと単純に考えるのではなく、その後の自分のライフプランを真剣に考えて決めるようにしましょう。