家を売却する際には、誰もができるだけ高い査定価格をつけてもらいたいと考える物でしょう。しかし、高く売れる家の条件というものは、一般の方ではなかなか分からないもので、大切に住んでいた家だから「きっと高く売れる!」と思っていたものの、プロによる査定で想定外の安い価格をつけられてしまう…なんてことは珍しくありません。
そもそも家を売却するときには、必ず業者による査定を受けることになるのですが、「査定で見られているポイント」というものを知っている人はあまり多くないでしょう。そこでこの記事では、家査定を行う際にどういったポイントを見ているのかを簡単にご紹介していきたいと思います。査定ポイントを理解しておくと、不動産会社の言われるがままの金額で売却しなければならない…なんてことを防ぐことができ、より高く家を売ることができるようになるかもしれませんよ!
家査定で見られるポイントは?
それでは、家の売却を考えて不動産会社に査定を行ってもらう際、不動産会社が確認するいくつかのポイントをご紹介していきましょう。当然、家の査定方法に関しては不動産会社によって異なるのですが、『査定時に確認するポイント』については、そこまで大きな違いはないのです。
どの不動産会社でも、以下のようなポイントは必ず確認すると考えておきましょう。
ポイント① 築年数
どの業者に家の査定を行ってもらう場合でも、『築年数』は重要な査定ポイントになります。当然、築年数が古ければ古いほど査定価格は低くなってしまいます。
一般の方にはあまり知られていないかもしれませんが、住宅の種類によって建物部分の法定耐用年数という指標が決められているのです。耐用年数とは、いわゆる『寿命』のことなのですが、住宅用の木造建築は『22年』、鉄筋コンクリート造の住宅で『47年』と定められているのです。例えば、築20年を超えた木造建築の査定の場合、耐用年数を目安として査定価格がゼロとなってしまうことも珍しくありません。
一般的な戸建て住宅は木造建築が多いのですが、木造の住宅の場合、築年数が10年になるまでに急激にその相場が下落し、10年程度で新築の約半分程度まで落ちてしまうと言われています。また、築10年を過ぎても、なだらかに相場は下落していき、築20年程度経過した住宅の場合は新築の約1~2割程度まで相場が下がってしまうのです。
- 築10年の木造住宅は、新築の半分程度の価値になる
- 築15年の木造住宅は、新築の約3割の価値になる
- 築20年の木造住宅は、新築の1~2割程度の価値になる
家の売却は、上記のように『築年数』でそもそもの評価が変わってきますので、注意しましょう。ちなみに築30年を超えた住宅になると、「古家付き土地」などと表記され、土地として取引されてしまうのが一般的です。家というものは、内装や外装などに目立った外傷がない場合でも、目に見えない構造部分などの劣化が進んでしまうため、自動的に査定額が低下してしまいます。したがって、高く売ろうと考える場合には、売るタイミングが重要です。
ポイント② 家の内装
『家の内装』の状態は大きな査定ポイントになります。当然、家の内装は綺麗な状態の方が高い評価を受けます。例えば、異臭がする…生活がしにくい空間になっている…などと言った場合、評価を下げられてしまいます。
壁紙や天井のクロス、フローリングの状態などの劣化状況もチェックされますが、以下のポイントが査定価格に大きな影響をあたえると考えておきましょう。
- 雨漏り、シロアリ被害の有無
雨漏りは、住宅のさまざまな木材を腐食させてしまいますので、雨漏り跡や木材の腐食状況は慎重に確認されます。また、シロアリの繁殖状況も確認され、場合によっては売却前に修繕が求められることもあります。 - 水回りの設備
キッチンやお風呂、洗面台など、水回りの設備も重要な査定ポイントです。高級なシステムキッチンが導入されている、最新の給湯設備が整っているといった場合、査定で高評価を受けることになるでしょう。逆に、長年の使用で目に見える劣化がある…なんて場合は、一気に評価を下げられてしまう危険があります。 - 人気の住宅設備について
太陽光発電設備や床暖房など、住宅にどのような設備が導入されているのかも査定ポイントです。人気の住宅設備があれば高評価ポイントになります。
ポイント③ 外装の状況
屋根や外壁などの破損状況も非常に重要なポイントになります。例えば、外壁塗装の劣化状況や、使用している屋根材が破損していないかなど、細かな部分まで確認されると思っておきましょう。
築年数が経過した木造建築の場合、さまざまな箇所で木材が腐食している場合があるのですが、そういった箇所は査定に大きな影響をあたえます。他には、水平器などを使って建物の傾きを確認し、明らかな傾きがあるような家の場合は、売却すらできない…なんて場合があります。
ポイント④ 土地・立地の状況
家の売却では、土地の状況も大きな査定ポイントになります。基本的に建物と土地を分けて査定額を算出しますので、日当たりや立地条件などにより査定価格が変わってくるのです。
基本的に以下のようなポイントが確認されます。
- 土地の面積や形状
土地の形状と面積は、その土地の使いやすさに直結しますので、大きな査定ポイントになります。当然、広くて使いやすいと判断されるほど査定額が上がります。 - 日当たり
日当たりは快適な生活を送るための重要ポイントですので、査定額に影響をあたえます。基本的に道路に面している方角がどちら向きかで確認され、日当たりの良い南向き、次に東向きの住宅が高い評価を受けます。逆に、西日がキツイ西向きや日当たりが悪くなってしまう北向きは評価が下がります。なお、南向きでも周辺がマンションに囲まれて日当たりが悪い…なんて場合は評価が下がります。 - 眺望
眺望も家の査定に影響をあたえます。基本的に、高台などで眺望が良い家などとなると評価が高くなります。逆に、周囲を建物に囲まれている…などと言った土地は、マイナス査定を受けてしまいます。 - 接道道路
建築基準法には、「4m以上の幅のある公道に敷地の接点が2m以上なければならない」という土地の条件が存在していますので、接道道路との関係も査定で見られます。
ポイント⑤ 家の周辺環境
立地に似ていますが、この部分はその家に住んだ時の利便性についての評価となります。評価ポイントとしては以下のような点が重視されます。
- 日常生活の利便性
まずは周辺施設の利便性です。例えば、スーパーや学校、病院や駅などからの距離を確認し、生活利便性が高いと評価されるほど査定が高くなります。一般的に、各施設から「徒歩10分」を目安として、それよりも近ければ高くなり、遠い場合はマイナスになるといった感じです。 - 中心エリアへのアクセス
通勤や通学などを考えて、会社などが密集している中心エリアへの距離が近いか?交通アクセスが良いか?などが査定ポイントとなります。当然、アクセスが悪いエリアほど利便性が悪いと評価され、査定が下がります。
家査定時の注意点
家の売却を検討した際、皆さんが知識として持っておきたい査定のポイントは上記のような感じです。当然、上で説明した以外にもさまざまなことをチェックされますが、査定額に大きな影響をあたえるのは上の5つのポイントになるでしょう。
なお、実際に自宅の査定を行ってもらう場合、面倒に思うかもしれませんが、自宅の正確な査定額を知るため、1社だけに査定してもらうのではなく、複数の会社に査定を依頼するのが重要です。上述しているように、査定で確認するポイントは同じだったとしても、会社によって査定方法が異なりますので、実際に提示される査定額はかなり違う場合があるのです。
また、1社だけの査定額では、本当にその価格が妥当なのかが判断できませんので、本来の相場とはかけ離れた価格で売却してしまう…なんてリスクもあるのです。複数の会社に査定してもらえば、自宅の相場を掴むことができますので、不当な価格で売却する…ということも防ぐことが可能です。
家を購入する際には、誰もがいろいろな点を慎重に検討し購入するものですが、売却時も同じように慎重さがとても大切になります。できるだけ高く売りたいと考えるのであれば、それなりの時間と手間を覚悟しておきましょう。