新築購入は、ゴールではなく大切なマイホームを維持するスタート地点と考えよう!

憧れのマイホームの購入は、一定の『人生のゴール』と定めている方が多いですよね。家の購入は、人生で最も高額なお買い物と言われており、一般的の方であれば、家を何度も購入するようなことはなく、購入した家で最後まで過ごすというのが普通だと思います。 しかし、「一生そこで過ごす」と言うことを考えた場合、マイホームの購入は『ゴール』なんかではなく、大切な家をできるだけ長持ちさせるためのスタート地点なんだという考え方を持っておいた方が良いですよ。と言うのも、どのような建物でもそこに存在するだけで徐々に劣化が進行してしまうものですし、日常生活を便利にしてくれる設備なども、定期的な買い替えが必要になるのです。さらに、日本という国は、台風や地震、集中豪雨による水害など、自然災害が非常に多い国として有名で、家のメンテナンスを怠ってしまうと、そういった災害で大きな被害が生じてしまうなんてことも珍しくないのです。 そこでこの記事では、新築一戸建てを購入した時点で考えておきたい、住宅周りのメンテナンス時期についてご紹介していきたいと思います。なお、ここで紹介するメンテナンスタイミングについては、新築一戸建てを購入した人向けです。分譲マンションなどの場合、建物周りのメンテナンスタイミングは住人ではなく、管理会社などが行ってくれますので、購入者は自宅の内部についてだけ考えておけば良いです。

建物周りのメンテナンスについて

それではまず、建物周りのメンテナンスから考えていきましょう。皆さんに覚えておいてほしいのは、新築購入後に必要になるメンテナンスは、「建物のメンテナンス」と「住宅設備のメンテナンス」の二つに分類することができるということです。 建物については、風雨や紫外線などの影響を常に受けていますので、そこに建物が存在するだけで徐々に劣化が進行していっています。住宅設備に関しても、そこにあるだけで徐々に劣化が進行するものなのですが、使用頻度によって劣化が早まったりしますので、各ご家庭によってメンテナンスタイミングに誤差は生じると考えておきましょう。ここではまず、住宅周りのメンテナンスについていくつかのポイントをご紹介しておきます。

構造体のメンテナンスについて

まずは、土台や柱、梁など、家の構造体のメンテナンスです。この部分に関しては、住人の目に触れない場所ですので、無視されてしまいがちですが、家を長持ちさせたいのであれば、定期的に専門家に依頼して点検してもらうのがおすすめです。建物の構造体については、必要に応じて補修を行っていくという体制しか取れないのですが、分かりやすいメンテナンスタイミングと言えば、台風や地震などがあった直後に、専門業者に点検してもらうという方法です。 なお、木造住宅がほとんどの日本では、防蟻処理が非常に重要です。新築住宅の場合、家の購入後、5~10年ごとを目安に行っておくのがオススメです。これはシロアリ対策であり、湿気の多い日本では、住人が気付かないうちに家の構造体を食べられてしまい、耐震性が著しく低下してしまっていた…なんてことが考えられます。 シロアリ被害を受けた場合、修復するための工事もかなり大規模になり、メンテナンス費用も莫大になってしまいます。さらに、築20年程度経過してくると、床が凹んでしまったり、床鳴りを引き起こしてしまうようになりますので、売却を考えた時は評価額がかなり下がってしまうことになります。 理想を言えば、5~10年おきの防蟻処理に合わせて建物全体の構造体の点検を行い、必要であれば補修するというスタンスが良いでしょう。 関連:『ベタ基礎』『布基礎』って何?住宅の耐久性を左右する基礎について

屋根のメンテナンスについて

戸建て住宅で最も劣化が早い部分となるのが、屋根と考えてください。屋根は、常に太陽の直射日光や風雨にさらされ続けていますので、台風などの大きな外的要因が無くてもかなりのダメージを受け続けています。そして、そういったダメージを受けているのにもかかわらず、適切なメンテナンスを行わなければ、雨漏りとして問題が表面化するわけです。 雨漏りは、天井から水が落ちてきて生活に支障が出る…程度の問題と考えているのであれば大間違いですよ。上述したように、木造住宅が多い日本では、雨漏りで柱や梁などが濡れてしまうと、シロアリが寄ってきてしまい、シロアリ被害にまで発展してしまう恐れがあります。屋根は、定期的にメンテナンスを行い、常に万全な状態にあることが大切と考えてください。 メンテナンスタイミングに関しては、採用している屋根材によって異なります。例えば、新築住宅で採用率が高いスレート屋根などであれば、定期的な再塗装が必要になるので、新築購入後7~10年程度で再塗装が必要になります。これが、瓦屋根などになると塗装が必要ありません。このように、屋根に採用している屋根材によってメンテナンスの内容やタイミングが異なりますので、不安な場合は、家を建ててくれた住宅会社に「どんなメンテナンスが必要になるのか?」をリストアップしてもらっておくと良いでしょう。 一般的には、10年おきに大規模なメンテナンスが必要になると考えておきましょう。また、築25年前後でカバー工事や葺き替え工事の必要性を検討する感じです。なお、屋根は小さな劣化が生じていた場合、台風の強風で一気に被害が拡大してしまう恐れがあります。したがって、台風の多い日本では、台風の時期の前に屋根の状態を点検してもらうのがオススメですよ。

外壁のメンテナンスについて

外壁に関しても、採用されている材料によって、必要なメンテナンスや劣化症状が変わってきます。近年では、窯業サイディングと呼ばれるボードを貼り付けていく外壁材が主流ですが、他にも塗り壁や金属サイディングなどがあります。外壁は、塗装剥がれによる防水性の低下や、ひび割れなどの症状が生じた場合、そこから水が浸入するようになり、柱や断熱材を劣化させてしまうことになります。もちろん、壁内部の湿気が高まれば、シロアリを呼び寄せてしまいます。このような、外壁の劣化を放置してしまうと、建物の寿命自体もどんどん縮んでしまいます。 外壁のメンテナンスとしては、新築購入後10年前後で外壁の塗装のやり替えが必要なると考えておきましょう。最近では、塗料にもさまざまな種類が登場してきており、中には、耐用年数が15年程度のものもありますので、そういった塗料を採用している場合、築15年目に1度目の再塗装が必要と考えましょう。 ただし、窯業サイディングの場合、ボードとボードの隙間にコーキングと呼ばれるゴムのような物が施工されています。そしてこのコーキングは、約7~10年程度が耐用年数と言われていますので、塗装と一緒にやり替えるのがオススメです。と言うのも、外壁塗装もコーキングのやり替えも足場の組み立てが必要になるので、別々に施工してしまうと、余計な足場代がかかってしまうのです。基本的には、外壁は10年に一度の割合でメンテナンスが必要と考えましょう。 関連:新築戸建ての外壁材選び!さまざまある外壁材の特徴をきちんと理解して決めよう!

内装のメンテナンスについて

家に住んでいれば、内装の劣化のことも考えなければいけません。ただし、内装の劣化については、日常生活の中でもよく目に入る部分ですし、上述した屋根や構造部などよりもメンテナンスタイミングは分かりやすいです。一般的には、壁紙や室内建具、フローリングなどの床材のメンテナンスです。こういった部分は日常的に使用することになるので、汚れや傷がつきやすい場所と考えてください。 内装のメンテナンスについては、各ご家庭の生活習慣や家族構成などによって劣化速度が大きく違ってしまいます。そのため、メンテナンスの頻度については、一概に「〇年に一度」などと言いにくい部分があります。ただし、クロスの汚れやフローリングの傷みなどに関しては、築5~10年程度で目立ってきますので、その辺りを想定しておきましょう。 ちなみに、建物内部の美観維持に関しては、定期的なメンテナンスよりも普段の掃除などの手入れの方が大切です。メンテナンスに合わせて日頃のお掃除なども忘れずに行っておきましょう。

住宅設備のメンテナンスについて

住宅のメンテナンスについては、上述したような建物自体のメンテナンスをイメージする方が多いです。しかし、日常生活を進めるうえで決して忘れてはいけないメンテナンスが、住宅設備のメンテナンスなのです。 近年では、蛇口をひねるだけで水もお湯も出ますし、室内を快適な温度にしてくれるような設備もたくさんありますよね。このような私たちの快適な生活は、さまざまな住宅設備があるおかげなのです。そして、そういった住宅設備についても、耐用年数と呼ばれる寿命がありますし、使用すれば劣化が進むものです。したがって、建物自体のメンテナンスと同様に、定期的にメンテナンスや交換が必要と考えておきましょう。

水回り設備のメンテナンスについて

住宅設備の中でも非常に重要で、劣化速度が早い部分が水回り設備です。基本的には、以下のようなメンテナンスタイミングと覚えておきましょう。

  • キッチンについて キャビネットの蝶番・建て付け調整:約5年目、水栓金具の交換:約10年目、レンジフードの点検・交換:約10年目、コンロの点検・交換:約10年目、食洗機の点検・交換:約10年目、キッチン全体の取り替え:約20年目
  • 浴室について 目地シーリングの打ち替え:約10年目、水栓金具の交換:約10年目、照明器具・換気乾燥機の点検・交換:約10年目、浴室ドアの点検・交換:約10年目、浴室全体の交換:約20年目
  • トイレについて 温水洗浄便座の点検・交換:約5〜10年目、便器・タンクの点検・交換:約15〜20年目
  • 洗面化粧台について 洗面化粧台の点検・交換:約15〜20年目

水回り設備のメンテナンスについては、上記のタイミングを目安にしてください。ただし、システムキッチンやシステムバス、トイレ器具などなどの取り換えを行う場合、部分的な修理が不可能で、丸ごと交換しなければいけなくなるケースも多いです。

給湯器のメンテナンスについて

給湯器は、ガス給湯器が一般的ですが、太陽光発電などが広く普及した現在、電気でお湯を沸かすエコキュートを導入する方も増えています。どちらにしても、耐用年数が10~15年程度と言われていますので、築10年を経過したあたりで交換が近いと考えておきましょう。なお、こういった設備に関しては、普段の使い方やメンテナンス状況、設置場所の条件などによって故障が早まったりします。したがって、耐用年数よりもかなり早く不調を感じることも多いと言われているので、そういった場合は専門業者に相談すると良いでしょう。 給湯器の故障は、家中のお湯が使えなくなってしまうという問題が生じますので、かなり不便な思いをしてしまうことになります。真冬などであれば、お風呂に入れない生活になってしまいますので、「故障してから買い替える!」と考えるのではなく、耐用年数などを目安として故障する前に交換するのがオススメです。

まとめ

今回は、新築住宅を購入した人がおさえておきたい、建物のメンテナンスタイミングについて解説してきました。家の購入は、非常に大きなお金が動くことになりますので、人生のゴールと考えている方が非常に多いです。しかし、家の購入は決してゴールなのではなく、新築購入直後から、その家を長持ちさせるためのメンテナンスの始まりと捉えておくのが正解だと思いますよ。 と言うのも、非常に頑丈に作られる家ですが、メンテナンス不足に陥ってしまうと、皆さんが考えている以上の速度で劣化が進んでしまいます。そして、ちょっとした雨が降っただけで雨漏りしたり、台風で屋根が吹き飛ばされてしまう…というような被害が出てしまうのです。 この記事でご紹介したメンテナンスでも、まだまだ一部と考えられますので、どんなメンテナンスが必要なのかは、家の購入時にビルダーさんにリストアップしてもらうのがオススメですよ。