地震に強い家を建てるには?知っておきたい『建物構造』による違い
新築戸建て住宅を購入する時には、誰もが「地震に強い家にしたい!」と考える物でしょう。日本は、諸外国と比較しても地震の発生数が非常に多い国として有名です。日本の国土面積は、世界の約0.25%しかないものの、なんと世界で発生するマグニチュード6以上の地震のうち、約2割は日本国内で発生していると言われるほどなのです。 こういった事情もあり、日本で建てられる住宅は法律で耐震基準などが決められており、そもそも外国の家と比較すれば地震への耐久力は高いと考えても良いです。しかし、そうはいっても、大規模地震が発生した際には、大きな被害が生じてしまっている住宅も多いですし、どうせ家を購入するのなら「できるだけ地震の被害を小さなものにしたい!」と考えてしまうことでしょう。 そこでこの記事では、「地震に強い家を建てるには?」を考えた際、皆さんがおさえておきたい建物の『構造』と地震の関係についてご紹介していきたいと思います。建物の耐震性を向上させるためには、さまざまなポイントがあるのですが、まず第一弾として『建物構造』の基礎知識をご紹介しておきます。
建物構造と耐震性について
皆さんもご存知のように、一口に「家を建てる!」と言っても、さまざまな構造が存在しています。現在、日本国内で代表的な構造と言えば『鉄骨構造(鉄骨造、S造』『鉄筋コンクリート構造(鉄筋コンクリート造、RC造)』『木構造(木造、W造)』の3つなのですが、基本的にどの構造を選択したとしても、「震度6強の地震でも倒壊・崩壊しないよう」と定められています。 ただし、それぞれの構造では、得られるメリットなどが異なりますので、ここでは家の構造ごとの特徴をご紹介しておきます。
鉄骨構造について
鉄骨構造は、骨組みに鉄や鋼を使用する物です。なお、鉄骨構造でも、以下の2種類が存在しています。
- 鉄骨の厚みが6mm未満の『軽量鉄骨』
- 鉄骨の厚みが6mm以上の『重量鉄骨』
どちらの構造でも、地震による揺れには非常に強く倒壊しにくいという特徴があります。ただし、熱には弱いため、火災の際は注意が必要です。 『重量鉄骨』は、主にビルやマンションなどを建設する際に利用される構造で、それぞれの鉄骨が厚く頑丈なため、軽量鉄骨と比較すれば骨組み自体の本数が少なくなります。したがって、広い部屋などを作るなど、幅広い間取りに対応することができるのが特徴です。しかし、重量鉄骨は非常にコストが高くなってしまうため、一般住宅では採用されることは少ないです。 一般の住宅などでは、『軽量鉄骨』が採用されることが多く、これはそれぞれの鉄骨の重量が軽く、大掛かりな地盤改良をしなくても良いため、重量鉄骨造よりも建築スピードが速くなります。また、コストも抑えることができますので、頑丈な戸建住宅を求めている方に選ばれることが多いです。 ただし、耐震構造を維持するためには、使用する鉄骨の数を多くしなければいけないため、間取りの自由度が低くなってしまうというデメリットが存在します。
鉄筋コンクリート構造
次は鉄筋コンクリート構造です。この構造は、地震の揺れは感じやすいものの、強度は高く倒壊しにくい家を実現できるのが特徴です。 また、耐用年数が長く、遮音性に優れているというメリットも魅力です。ただし、コンクリートは熱伝導率が高いという特徴があるため、四季による寒暖差がある日本の気候では、快適な室温を保つための工夫にコストがそれなりにかかってしまいます。 鉄筋コンクリート構造は、壁が分厚く建物自体の重量が重くなってしまうことから、家を建てる場所によっては地盤改良費が高くなってしまうなど、建築コストが高くなってしまう可能性が高いのが大きなデメリットです。
木構造
日本国内で古くから人気なのが『木造住宅』です。四季のある日本の気候には、木造が非常に適していると言われており、農林水産省が行ったアンケートでは、今後住宅を建てる時に「木造住宅を選ぶ」と答えた方が約75%にのぼったとの結果が出ています。つまり、日本国内では、さまざまな構造の住宅がある中でも、木造が圧倒的に支持されているわけです。 参照データ:農林水産省 「森林資源の循環利用に関する意識・意向調査」 ただし注意が必要なのは、木造住宅にもいくつかの工法が存在しており、どれを選択するのかによって建物の耐震性能が変わってしまうということです。以下で、主な工法とその特徴をご紹介しておきます。
木造軸組工法
古くから日本の木造住宅で使用されている工法で、立てた柱に梁を渡し、筋交いで補強をするものです。現在でも在来工法として良く採用されます。木造軸組工法は、間取りの自由度が高い事や大きな開口部をとることができるというのが特徴です。ただし、下で紹介する他の工法と比較すれば、耐震性・防火性に劣るのがデメリットになります。
ツーバイフォー工法
テレビCMなどで耳にしたことがあるという方が多い工法ですね。これは1990年代にアメリカから輸入され始めた工法です。「2インチ×4インチ」の角材と合板で床、壁、天井6面のパネルを作っておき、それらを組み合わせて家を建てる工法となります。工期が短く、気密性・断熱性・耐震性に優れているのが特徴です。ただし、壁面で強度を担保する構造となることから、将来的にリフォームを検討したとしても、自由度が低いと言う点がデメリットになると言われています。また、結露が発生しやすいとも言われています。
木造ラーメン工法(SE構法)
新築の木造住宅は、上の2つの工法が8割を占めていると言われています。そのような中、近年注目されているのが「SE構法」と呼ばれるものです。これは、鉄骨やRC造で採用されるラーメン工法を木造住宅においても採用できるようにした工法です。この工法は、「木造軸組工法」の耐震性の不安や、「ツーバイフォー工法」の自由度の低さを解決した非常に優れた工法と言われています。デメリットとしては、一般的な木造住宅よりも建築コストが割高になってしまう点でしょう。
地震に強い家の判断基準について
ここまでは、工法によって異なる家の耐震性能についてご紹介してきました。しかし、「地震に強い家をつくる!」場合には、他にも注意しておきたいポイントがあるのです。ここでは、皆さんがおさえておきたいポイントをいくつかご紹介しておきます。
地震に強い土地も重要
「強い家」を作るためには、家の『基礎』が非常に重要になります。どれだけ強固な構造の建物を作ったとしても、基礎がしっかりしていなければ、家は簡単に揺らいでしまうものなのです。したがって、強い家を求める場合には、家の基礎を支える『土地選び』の事も考えておかなければいけません。 家を建てる時、その土地の強さを測るのが『地盤調査』なのですが、平成12年以降は、この地盤調査が義務化されています。地盤調査は、家を建てる位置や間取りがある程度決まらなければ、調査項目を確定することができませんし、基本的に土地を購入してから建築前に行われます。もちろん、購入前に地盤調査をすることも可能なのですが、調査費用は自分で払わなければならず、例え土地を購入しなくても調査費が自己負担になってしまうため、なかなか難しいのが現状です。 ちなみに、家の建築予定地が軟弱地盤だった場合には、以下のような地盤改良が必要になります。
- 表層改良工法⇒2m程度、土を掘り、固化剤と土を攪拌し地盤を強固にする
- 柱状改良工法⇒土地にコンクリート柱を注入して、地盤を強固にする
- 鋼管杭工法⇒鋼管の柱を注入して、地盤を強固にする
地盤の強度によって、上記のどれかの方法で地盤改良をしなければいけません。 ちなみに、土地の強さに関しては、その地域の過去の災害データや、地盤データ、自治体が公表しているハザードマップなどから予想することができます。「地震に強い家」を求めるのであれば、こういった土地の強さにも注目しておかなければいけません。
家の耐震性に関する法規制
地震が多い日本では、建物の耐震性を高めるためにいくつかの法律が定められています。家を建てる際には良く登場する法律ですので、以下を覚えておきましょう。
- 建築基準法 建築基準法で、建物に対する耐震基準が定められており、基準を満たした住宅にのみ建築許可がおりる仕組みです。
- 公共工事の品質確保の促進に関する法律 『品確法』と呼ばれるこの法律では、住宅の品質確保を目的として「耐震等級」が定められています。
- 長期優良住宅法 最近よく耳にする『長期優良住宅』という言葉ですが、この認定を受けるためには、さまざまな基準を満たしていなければいけません。耐震性に関しては『耐震等級2以上』の強度が必要とされます。
住宅の耐震性に関しては、上記のような法律が関係します。ただし、品確法・長期優良住宅法に関しては、この基準を満たしていなくても住宅の建築自体は可能です。
まとめ
今回は、地震が非常に多い国として有名な日本で家を建てる際、できるだけ地震に強い家を建てるためにおさえておきたい基礎知識をご紹介してきました。この記事では、住宅の強さの基本となる建物構造と土地に関する基礎知識を中心にご紹介しました。もちろん、「地震に強い家」を作るためには、これ以外にも注意すべきポイントがありますので、それはまたの機会にご紹介したいと思います。 日本国内では、木造住宅の需要が非常に高いのですが、木造にもいくつかの工法が存在しており、どれを採用するのかによってメリットとデメリットが異なります。憧れの戸建住宅ですので、間取りや外観の美しさなどを重視したい気持ちも分かるのですが、さまざまな災害への耐久力も決して見逃せないのが日本の住宅です。 家を建てる時には、注目しなければならないポイントが非常に多いため、計画段階からプロのアドバイスをもらうのがオススメです。現在、家の購入をご検討中の方は、ぜひむとうの家にご相談ください。